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第1回テキトーツーリングに行った

めちゃくちゃタイトなスケジュールでバイクの原稿を書きながら、頭の中ではずーっとバイクで伊豆を走っていた。

「これが終われば走れる!」「あと何行で走れる!」「あと何文字で走れる!」「書く!」「そんでぜってー走る!」と、バイクに乗ること、嗚呼ただそれだけをモチベーションにしながら、バイクの原稿を書くわけである。ガソリンを消費しながらガソリンスタンドを探して走り回るようなもの? 自分のウンコを食うウサギみたいなもの? よく分かんないけど、そういう自己リサイクル型の作業なのだ。

しかし、こう言っちゃ何だが原稿を書く仕事は思っている以上に疲弊消耗するもので、一段落すると結構ヘロヘロになる。最後の力を振り絞り、弱々しくパサッと改行キーを押すと、崩れ落ちるように布団に潜り込み、サナギの中でドロドロに溶ける蝶の幼虫のように(怖すぎる)、デローーーーッと眠るのである。

つまりですね。原稿書きが終わった翌日にツーリングに行くってのは、かなりしんどいことなんスよ。気力体力ともにゼロに近い中、最小限の睡眠時間でバイクに乗るってのは、相当につらい。

だってバイクって、乗るのめんどくさいんだもん。準備からしてめんどくさい。行き先の天気動向、帰る時間の地元の気温などを読みながらウエアを用意する時点で、もう泣きそうなぐらいめんどくさい。

朝は寒そうだ。いやでも日中は暑そうだ。はたまた夜は冷えるだろう。朝はモコモコ着ててもおかしくないが、さんさんと降り注ぐ陽光のもとモコモコしてたら、「あらあの人も厚着マニアなのね」「体中ダラダラと汗を染み出させて快感を得ているのね!」「そのままサウナにご一緒しませんかー!」などと声をかけられてしまう。困る。

ジャケットはどうする? インナーは? グローブは? ズボン(notパンツ)は? それもこれも、バイクの荷物搭載能力が貧弱すぎるのがいけない。クルマなんか400リットルオーバーなんつう打倒大型冷蔵庫的な圧倒的大容量を誇るというのに、バイクだと最近リリースされたNC700Xが「ラゲッジスペース!」なんて大騒ぎしてるけど、容量わずか21リットルですよアンタ。

騙されちゃいかん。フルフェイスヘルメットが1個入るか入らないかで大騒ぎなんておかしいでしょうアンタ。クルマだったらヘルメットなんか数を気にするまでもなくバカスカ収められるってのに、バイク業界においては「ヘルメット1個入るのか入らないのか!」「入るならそれはどのメーカーの何というブランドの何サイズなのだ!」「そこんところハッキリせよ!」「責任者出せーっ!」「我々は戦うぞーっ!!」と議論が紛糾しているのである。

でも無理。スポーツバイクの形状をしている限りは、ヘルメット1個でも収納できればものすごいことである。つまり持てる荷物は最小限で、であるがゆえに、何を着て、何を持つかに毎回毎回頭を使わされる。そして、原稿書きで脳汁を出し切った身には、これがつらいわけである。

というように。ウエア選びひとつとってもめんどくさいのに、走り出せばもっとめんどくさいことがあれこれと山積みである。それが分かり切っていながら、ヘロッヘロに疲労困憊している中、「よし明日バイクに乗るぞ!」とはなかなかならないワケである。

今回は、「その日は曇りときどき晴れ。それを逃したらどうも天気下り坂」というピンポイント的な空き日が原稿納品の翌日に出現し、ハッキリ言って疲れちゃってバイクなんか乗りたくないけどでも乗りたいけどめんどくさいけど乗りたいけどでもめんどくさいけど、と、ウジウジ考えていた。

そして、素晴らしいアイデアを思い付いた。他力本願、である。人様の力をライディングのモチベーションに変えればいいのである。つまり誰かを誘うことによって、自らをのっぴきならない状況に追い込むわけだ。

さっそく友人のケンケンに声をかけた。ケンケンは同じ雑誌の仕事をしているフリーのデザイナーで、言わば戦友のようなものだ。共に死線をくぐり抜けた友人として、ふたつ返事で「そりゃ行くでしょう」との快諾を得た。ま、断られても「るせー行くぞてめー!」と強引に連れ出すつもりだったのだが……。

しかし、まだ足りない。ケンケンとは長い付き合いなので、下手すりゃ当日の朝にも「やっぱやーめた!」と断ることが可能である。のっぴきならない状況とは言い難い。もっと激しくオレをツーリングさせる動機というか束縛というか強制力が欲しい。もっと他力にすがりたい。

そして思い付いた。現代社会には、ツイッターというバカ発見器じゃない、便利なリアルタイム小ネタ発信ツールがあるではないか。ここで明日のツーリングに行く人を募集してみて、万一誰かが手を挙げたら、そりゃもう断るに断れなくなるのではないか。

というわけで4月18日(水)午後6時1分、「明日誰か一緒に走ろうぜ〜」とつぶやいてみた。「行きたいけど無理〜」というレスポンスが相次ぐ。当たり前だ。前日の夕方、しかも晩ご飯の準備に忙しい時間帯に、誰が「行くー」と言うものか。それより「行きたいけど」と言ってくださる方が多くて驚いた。オレとツーリングしても何もいいことなんかないのに。

何よりも世間様にとって翌19日(木)はリッパな平日であり、普通なら業務学業などに励んでおられるはずだ。そういうまっとうな方たちが日本社会を支えてくだすっているおかげで、当方は平日にバイクでブイブイッと走ろうとしているわけである。申し訳ございません。

だいたいこっちはフリーで仕事をしている。「○月○日に仕事お願いしたいんですけど空いてますかぁ?」「あーごめんなさいその日は別の仕事入ってるんで」……つっといて遊びに行っちゃってることも少なくないこともないとは言い切れない。何にしても仕事をする・しないの最終選択権はコッチにあって、断って遊べば刹那的には楽しく経済的には収入が減るという完全自己責任システムである。

まぁ、なんだかんだ言ったが、ツイートしたところでそんな急な話に反応する人がいるわけがいたーーーーっ! 反応あったーーっ! 大学3年生のリョーヘイくんが「行くー!」と反応してくれたのである。ちなみにリョーヘイくんとは会ったことがなく、ツイッターだけでのお付き合いである。時代だよねー。

そんなこんなで、19日午前9時に東名高速・駒門PA(下り)で待ち合わせをした。さすがに遅れるわけには行かないので、ちょっと早めかなーと思いつつ午前7時に埼玉県入間市を出発する。いいねこの緊張感。原稿仕事明けなんか、自分だけでツーリングに行くつもりだったら2度寝3度寝を繰り返し近所のコンビニにすら行かないだろう。

いったんはウインターグローブを着用して出発しかけたのだが、うーむどうも暑そうだ。革のメッシュグローブに替えて改めて出発したが、圏央道に乗った時点で手が冷え冷えで大後悔である。上下は冬装備だったので体は平気だけど、手が冷たすぎる。もうやだ。中央道、東富士五湖道路なんかもうバイク捨てて中央本線で帰宅しようかってぐらいの寒さで、ケンケンとふたりだけだったら泣きの電話を入れて断念するところだった。

しかし今回は、リョーヘイくんがいる。オレは行かねばならない。泣き言は言っていられない。行くしかない。行けオレ。頑張れオレ。負けるなオレ。歯を食いしばりながらフンヌとホーネットを走らせ、どうにか駒門PAに到着したのはオレとしては異例の約束時間30分前の午前8時半。他力本願の威力炸裂だ。何となく気温も上がりつつあり、気持ちも持ち直して来たところで、2輪駐車場に置いてあるピカピカピカの赤いCBR250Rを見て、もっと気分はアガッてきた。

リョーヘイくんはSBKから2輪レースにハマッたというレース好きで、オレなんかよりよっぽど詳しい。CBRにはマルコ・シモンチェリの自作ステッカーが、ヘルメットにもマルコと富沢祥也のゼッケンが貼ってある。どの装備もピカピカで、本当に大事にしていることが伝わってくる。気持ちいいぜリョーヘイ! ヘイ、リョーヘイ! 逆から読んでもヘイ、リョーヘイ!

免許を取って1年経っていないリョーヘイを捕まえてあーだこーだ尋問しているうちにケンケンが登場し、オレとまったく同じ尋問をあーだこーだと繰り返して20歳(!)のリョーヘイがうんざりしてきた辺りで出発。沼津ICを降り、伊豆中央道を経由して海沿いの静岡県道17号線に入る。

天気もいいし最高だ! オレ&ホーネット、リョーヘイ&CBR、そしてケンケン&グラストラッカーの順で進む。県道17号線はかなりナロー&タイトなゲロゲロ系ワインディングで、たまにウソのように水が澄み切った海辺が登場するなど景色は最高なのだが、下手によそ見をしているといきなり対向車線に軽トラのじーさんがのっそり現れたりして、転落激突正面衝突などが発生しかねない難易度8ロードである。

実は1日の最後にリョーヘイにルートの感想を聞いたら、「最初のあの道はちょっとハードル高かったのです……」と振り返りながらしくしく泣いていたので、「るせー! あんのぐらいでへこたれてんじゃねえよ!!」とケツを蹴飛ばした……りはせず、「そうでしたかそれは大変失礼しました」と言いつつ、「へっへっへ、狙い通りだぜ」とほくそ笑んだのだった。

ひとりで走っている限りは、なかなかチャレンジをしない。でも人に連れて行かれると、こうやってムリヤリにでも難易度の高い道に突撃されてしまう。「ひー」「あへー」と言いながらどうにかクリアしていきながら、ライダーとしての経験を重ね、成長していくのである。

ただ、当然リスクもある。つうか、かなりある。リョーヘイも、1回マジでヤバかったらしい。溝にタイヤを取られてオタオタしているスキに軽トラに突っ込みかけたっつうことで、それを聞いた時は全身から血の気が引いた。

一応は県道17号線に入るまでのフツーの道で彼の走りを見ながら、「大丈夫かな」と思っていたのだが、あんまり大丈夫じゃなかったのかもしれない。すげーごめんなさい。いや別にオレがムリヤリ走らせているわけじゃないし、後ろからあおったわけでもないし、バイクなんか自己責任の塊だから、仮にリョーヘイに何かあったとしても気にしなくてもいいのかもしれない。

でも、そういうもんじゃない。未来ある青年の未来は守らなくてはならない。ミラーで確認していたリョーヘイの走りは、コーナー出口でたいていはらんでいる。確かにヤバイ。ちょっとだけ前を走ってもらうと、ブレーキングがザツだった。ペコッとかけ始め、直線でペコッとリリースし、フロントがピョコッと起き上がった状態でコーナーに入っていく。ペコッ、ペコッ、ピョコッという感じで、全然曲がっていない。しかもバイクを寝かせることが怖いみたいだから、もうコーナー出口でぬおーっとハラミ全開である。

今回のツーリングは完全に無目的で、せいぜい「テキトーに走れるだけ走る」ぐらいのコンセプトしかない。だからオレとしてもあーだこーだめんどくさいことは言いたくないし、リョーヘイも聞きたくないだろう。でも、あの走りのままでは、確かにリョーヘイはヤバイことになる。しょうがないから、バイク雑誌御用達「煌めきの丘」に着いたあたりで、しぶしぶ「ブレーキはかけ始めをもう少していねいに。で、きもーちブレーキを残したままコーナーに入ってみ?」とアドバイスさせていただく。

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↑テキトーに並べられたバイク。

ところでリョーヘイは、松山ケンイチに60%ぐらい似ている。だからオレとケンケンの間での呼称は「マツケン」になっていた。出会ってから2時間足らずで、年齢が倍以上の野郎どもに「マツケン」呼ばわりである。しかも余計なアドバイスまで聞かされて、かわいそうなリョーヘイ。あわれリョーヘイ。こんなリョーヘイに誰がした……。

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↑「煌めきの丘」から望むキラメキの風景。下の畑に、菜の花で「井田」って描いてあったんだけど、ちょうど刈り取られてしまっていて残念。

でも、マツケンの走りはちょっと変わった。コーナーであんまりはらまなくなった。あとはもうちょっと寝かせることができればいいんだけど、そんなことは先の分からない公道で練習するようなもんじゃない。「もしスポーティーに走ることに興味があるなら、サーキットにおいで」と言うに留めておいた。オレもちゃんとチン毛が生えそろったオトナなのだ。

そんなこんなで、土肥までのゲロゲロ県道を走り終え、国道136号線に入ったあたりで、「どーする?」と建前上は民主的に尋ねるも、「走れりゃいいよ」的なザックリした答えしか返ってこないので、とりあえずもう行けるだけ南下することにする。オレ的には南伊豆の弓ヶ浜まで行っちゃいたいが、ケンケン&マツケンの疲れ具合やモチベーションも分からないけどそんなことはいくら考えても分からないのでとにかくもう先へ先へと進んだ。

腹減った。信号待ちで皆さんに尋ねる。「何か食う?」「いいッスね」「何がいい?」「何でもいいッス」「どっか入る?」「走れりゃいいッス」

最高だ。走れりゃいいのだ。グルメなんかいらねー。おいしいもの食ったら長居しちゃって走る時間が減っちまうじゃねえか!

という美食走行時間減少理論に基づき、サークルKでファサッとしたメシを買い、松崎港の堤防で食らう。天気はいいし、風は優しい。「なんだあのボート。遭難してんじゃね?」「動いてますよちゃんと」「海女さんみたいのが漕いでるね」「海女の手こぎだな」「なんかエロいな」「『海女の手こぎ』って、濁点取ったらヤバイよね」「……(嘲笑)」みたいな、もう最悪に下品な会話をゲラゲラとかわしながら出発。うーん、この役立たず感がたまらない……。

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↑くだらないことしか話しません!

ひたすら南下し、石廊崎に到着した。高台から望む日本離れしたダイナミックな光景が素晴らしい。と、下へ降りられそうな細道を発見するや、マツケンが俄然勢いづいた。「行けそうですよ! 行ってみましょうよ」。マツケンは大学でハイキングサークルなどに入っており、舗装路のナローロードは苦手でも、ケモノ道的なナチュラルナローロードには魅力を感じるようなのだ。

バイクではトボトボと後ろをついて走ってるくせに、ガンガン我々をリードしてかろうじて道と認識できる程度のケモノ道を進んでいくマツケン。さすがハイキングサークル。何だよハイキングって牧歌的だなオイ。と思う我々の眼下に、まさに凄まじ美し景色がドドーンと現れた。

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この先は断崖絶壁だ。堕ちたらマジで死ぬ。っていうか今自分たちが立っている所も、草で覆われているから分からないが、下から見たら「アイツらバカじゃね?」みたいなオーバーハングかもしれない。ズゾゾー。怖いじゃん。

絶壁にはほっそいロープが1本垂れ下がっており、下の方には釣り人がいる。ヤツらは釣り道具を抱えてこのロープを降りたのか? 行けるのか? 行ってみたい。でもロープ頼りない。でも行ってみたい。でも落ちたら死ぬ。でも降りて海水に触れてみたい。あ、でもライディングシューズだしな。ウエアにプロテクターが入ってるから動きにくいし。そうだそうだ。動きにくいからやめとこう。ホントは行けるけどな。あえて行かないでおこう。

「あの人たち、このロープを伝って降りて行ったのかな」「すげぇ」「魚に命懸けてるな」「実は裏っかわにエレベーターがあんじゃね?」「ははは」「実は岩肌がドアになっててパカッと開いてさ」「たぶん、あの崖の向こう側も、コンビニがいっぱいあるんだよ」「デウデウデウデウって、自動ドアの音が鳴ってるんだよな」「それにしてもあの岩、ねずみみたいな形してね?」「確実に『ねずみ岩』って呼ばれてるね」「手がこんななってるよね(ちょこん、というポーズ)」「かわゆす」

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……こんな会話に延々と付き合わされるマツケンも哀れである。失笑し、冷笑しながらもなんとか付き合ってくれる20歳のマツケン。オレより22歳も年下で、息子と言ってもおかしくないお年頃のマツケン。なのにはるかにくだらない戯れ言を聞かされるマツケン。かわいそうなマツケン……。

石廊崎を後にして、すぐ先の弓ヶ浜に向かう。が、走り出してしばらく、何となくリズムが取れない。ヒーコラ言いながらケモノ道を降りて上った直後のバイクだからか、なんかしっくりこない。「ヤな感じだな〜」と思ってミラーを見ると、マツケンが来ない! げっ! マツケンなんかあった! マツケンやっちゃった! 小雪とやっちゃった! モチ肌がムチムチしてそうなマツケン! ゆっくり進みながらミラーを見ても、マツケン来ない。ああ、ホントにやっちゃったか……。

すっ転がってるマツケン+CBR250Rという最悪のイメージとともにUターンしてしばらく進むと、路肩にケンケンが止まっている。マツケンも止まっている。「どどどどどどした?」と聞くと、「ヘルメットのストラップを締め忘れてて」とマツケン。偉い! ちゃんと止まって締め直してたのね。偉い偉い! 置いて行かれるのを嫌がってストラップそのままで走り続けなかったのだ。マツケン偉い! さすが小雪のダンナ!!

いやしかし、ビビるね。ホントにビビる。マツケンに何かあったら、オレ生きていけない。大事な仲間だ。と同時に、バイクって本当に恐ろしい乗り物だと思う。ほんのさっきまでミラーに映っていたマツケンがフッと消えた瞬間に想像するのは、ひたすら最悪の事態だ。楽しさと恐ろしさの落差が激しくて、しかもそれらはすぐ隣り合わせで、本当に恐ろしいことだと思う。

自分がそういう乗り物に乗っている、ということは常に意識している。痛みも怖さも実感として分かっている。いつそれが自分の身に起こるかもしれない。生きるためには自分を抑えたり、テクニックを身に付けたり、経験を重ねたりしなければならないが、それでも100%安全なんてことは、バイクに乗っている限りはあり得ない。道を歩いているだけでもいつ死んでしまうか分からないのに、バイクに乗っていればその可能性はもう信じられないぐらい高いのだ。

でもオレは、そのリスクを自分でコントロールしたい。コントロールできずにひょっこり死んでしまうかもしれないが、それは自分の責任だと思う。バイクで死にたいとはまったく思わない。でも、バイクが死にとても近い乗り物だと分かっている。こうしてマツケンがちょっと遅れただけでも最悪の事態を想定することがその証だ。

死にたくない。死ぬかもしれない。死に近いことがバイクの魅力だとは思わない。でも、死をものすごくリアルに身近に意識しながら、生へとどうにかバランスを取ることに、魅力を感じているのだと思う。

いやーそんなわけでめちゃくちゃビビッたマツケンヘルメットストラップ締め事件を経て、弓ヶ浜に到着した。日本全国世界各地でいろんな海を見てきたけど、ここが世界一好きだ。この日のように弓ヶ浜に柔らかい風が吹いている日は、本当に心が解きほぐされる。何時間でも、きっと何日でも、ただ海を眺めていられる。

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個人的な思いが多分に含まれているから、みんなが気に入ってくれるかどうかは分からない。でもケンケンとマツケンも「いいね〜!」と言ってくれたし、野良猫の腹も全力で撫でることができたからまぁいいか……。それに、どうにかセルフタイマーを使ってマツケン、ケンケン、オレの3ショットを撮ろうと地面に寝そべっていたら、カップルが苦笑いしながら「撮りましょうか?」と声をかけてくれたし。

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↑優しきカップル(の男子)が撮ってくれた3ショット。ありがたや。

いやしかし、こうやってバイクを並べて写真を撮ると、青春って感じだね! バイクってなんでこんなに青春感があるんだろう。考えるのはめんどくさいので、とりあえず目的地到着ということにして、帰途についた。

帰り道のメインイベントは、宇久須から天城牧場に上るヘアピン連発のワインディングと、西伊豆スカイラインである。これはふたりとも楽しかったようだ。オレとしては皆さんのことを心配しつつなので思いっ切り走るというわけにはいかなかったが、なんかね、全然楽しかった。

オレはオレでライディングの課題があり、それはサーキットでタイムを追い求めてガツガツ走っているだけではなかなか修正できないことなのだ。こうして公道をのんびり走りながら、ブレーキングのタイミングやアクセルオンのタイミングを細かく調整してみると、いろいろ分かることがある。飛ばすことに夢中になっていては気付かないことが見えてくる。

それに何よりも、素晴らしい自然の中を走れるのだ。バイクは、嫌でもアウトドアに放り出される。当たり前すぎることだが、これはバイクの醍醐味のひとつだと思う。

「そんなにアウトドアがいいなら、歩けよ」

確かに体ひとつでアウトドアに身を投じることも、悪くない。でもオレは、バイクがガソリンを燃焼させながら走るメカニズムの塊で、自然と対抗する存在だからこそ、複雑な面白さを感じる。自然と対峙する一方で、信じられないぐらい濃密に自然を感じることができる。この矛盾というか二律背反というか連立微分方程式が、バイクという乗り物に深みを与えている。

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オレは人工と自然、どっちも大切だと思う。生と死のバランスを取るように、人工と自然もうまくバランスを取った方がいい。生きてるだけじゃ意味がない。でも死んじゃダメだ。人工物だけでは息苦しい。でも自然だけでは生きていけない。人間が人間として生きていくために必要ないろんなバランスを、バイクからは学び取ることができるのだ。

東名高速・駒門PA(上り)に到着したのは、午後6時。9時間にわたって延々と伊豆を走り回ったことになる。その間、まともな休憩と言えば、コンビニで買いだした食糧を松崎港で食った数十分だけである。

せいぜい最後ぐらいは、と、駒門PA名物らしく「テレビでもおなじみ」って書いてあるけどテレビでは1回も見たことがない「アメリカンドックン」という若干エロい(何でもエロく感じるのだ!)ネーミングのアメリカンドックを食ったが、顔が焼き印されているぐらいで別にフツーのアメリカンドックであった。

ノー・アミューズメント。ノー・温泉。ノー・グルメ。ノー・おもてなし。ナッシング尽くしのテキトーツーリングで、さぞやマツケンも嫌気が差しただろうと思ったが、「めちゃくちゃ面白かったですよ! またぜひ!」などと殊勝なこと言ってくれるじゃねぇかマツケンよ! アレ、ホントの名前なんだっけ? ショーヘイ? リョースケ? 忘れちゃったけど、どうせまたバイクで会えるからいいよな……。

帰りは東名厚木ICから帰ることにした。御殿場ICで下りていくケンケンに合図して、厚木ICではさらに先に行くマツケンに合図する。別れの合図には、いろんな思いがこめられていて、だけど言葉はなくて、とても好きだ。

八王子のあたりで雨に降られた。雨の中を走るのは本当に久しぶりで、自分が濡れるのは構わないが、バイクを濡らしたくなかった。

素晴らしく意味がなく、意味がないことに価値がある1日だった。

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おわり。

いやそれにしてもさ、ホントに何もなく、ただヒタ走るだけのツーリングでしたよ。走行距離は520kmだけど、別に多いとは思わないな。いくらでも走っていられる。そういえばマツケンが「前からブログは読んでたんですよ」「でもにほんブログ村 バイクブログ バイク モータースポーツへ←このボタンは押したことないんだろ?」「当たり前じゃないですか」。やっぱり。ど う し て 誰 も 押 さ な い ん だ ! 520km走ったんだから、520回押せよなー!!! ホントにもう!!!!にほんブログ村 バイクブログ バイク モータースポーツへ

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コメント

こんにちは。今回のツーリングに自分も切実に行きたかったです!!私は今大学四年生でヘナチョコライダーですが、次回も企画&声かけお願いしますm(__)m極めて自主的に休講しますのでw

投稿: tyawanmuc | 2012.04.21 09:08

ごうさん、おはようございます~

走るだけのツーリング、いいじゃないですか!!
観光やグルメなら車で行けばよいけど、ライダーはバイクを操るのが好きでバイクに乗ってるんですもんね!
伊豆は好きで所沢くんだりから年に数回行きますが、土肥あたりにもう少し美味しいお店があればいいのですが・・

って、結局グルメか?(笑)

投稿: おっちゃん。 | 2012.04.21 10:26

はじめまして。今年20才になるzekiと申します。
伊豆ツーリング良いですね!行きたい!走りたい!
箱根にはよく行くんですが伊豆は行ったことないですねー。すごく楽しそうなので今度は伊豆まで挑戦したいと思います!!

ロープ買って行くか(笑)

投稿: zeki | 2012.04.21 21:04

いいねー。
40オーバーとハタチが一緒にバイクで走って、海っぺりでアホ話をだべる。
いいねー。

ソロで走るのもイイけど。
アホ話もだべりてー。

投稿: danda | 2012.04.21 21:43

>tyawanmucさん
ち、茶碗蒸し? 企画ってほどの企画はないっていうか皆無っていうか、まったくもって行き当たりばったりのテキトーツーリングでよろしければ、ぜひ!

投稿: ごう | 2012.04.22 11:41

>おっちゃん。さん
西〜南伊豆は、なーんもないのがいいんですよ。山と海と空とワインディングとバイクがあれば、あとはコンビニでOKです。コンビニはあってほしいです。何でも揃う文化の香りです。

投稿: ごう | 2012.04.22 11:47

>zekiさん
ぜひロープ持参で挑戦してみてください! 箱根まで行ったら伊豆なんてちょいちょいですよ。逆にオレ、箱根はさんざん行ってるのに、芦ノ湖スカイライン、箱根スカイライン、ターンパイクなどなど、道路しか知りません。芦ノ湖の水に触れたこと、ないんじゃないかな…。ロープ持って行ってみよっかな。

投稿: ごう | 2012.04.22 11:48

>dandaさん
マジでくっだらねーアホ話しかしなかったな……。最高すぎです……。

投稿: ごう | 2012.04.22 11:49

なんか楽しそうだなぁ・・・・
俺も公道再デビューしようかなぁ・・・

って気になった

懐かしの青六軍団でツーリング行ったらもっとめちゃくちゃになりそうで楽しそうだw

投稿: しの | 2012.04.22 17:15

あ~行きたかったな~行きたかったな~マツケンがうらやましい。

行きたすぎて当日の朝、首都高で迷子になる夢見ました。

私も観光や美味しいもの無しのツーリングが好きです。
走れる時間とガソリンに使えるお金がもったいないと思ってしまう…(笑)

次は絶対!ぜっっっったい!参加させてください!

投稿: とみぃ | 2012.04.23 08:29

>しのさん
楽しかったよ。行こうぜー。しかし、確実にすんごいことにな、青六ツーリング倶楽部。面白そう!!!

投稿: ごう | 2012.04.24 09:12

>とみぃさん
「観光や美味しいもの無しのツーリング」(笑)。キッパリしてますね! 恐らく次回も突発的だと思いますが、どっか行きたい所存ですので、よろしくお願いします。

投稿: ごう | 2012.04.24 09:13

いいなー!
いいなーー!
いいなーーー!(≧∇≦)

記事見ました、スゲー楽しそう走るだけ・・・・走るだけ!
伊豆のほう・・・・イイナー
俺もごうさんと行きたい!

八王子の近くで雨か・・・あの辺は嫌な思い出しかない・・・

金貯めて早くマシン直さないと。

投稿: 猛 | 2012.04.25 03:51

>猛さん
面白かったッスよ! かなり突発的ですが、タイミングが合えばぜひ!

投稿: ごう | 2012.04.28 00:43

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