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小林ゆきさんのブログを読んだ

小林ゆきさんのブログ「小林ゆきBIKE.blog」に掲載された、「日本にはバイク文化があるじゃないか」という記事を読んだ。

何度か読んで、むむむ? と違和感を覚えた。そこでツイートしてみた。ツイート。

「二輪業界と二輪誌業界を混同している。業界全体では移動手段としての優位点を訴え、製品を作り、販売してきた。その上でバイクが浸透しない理由の考察がなく、説得力に欠ける。バイクを復興に役立てることが論旨なら大上段すぎ。RT @yukky_rt http://bit.ly/goy2oB

するとご本人から返信があった。

「ぜひ説得力のある対論をお願いします!」

おっ、対論! 対論ってすげぇな。ツイッターで対論か。まあじっくり語り合ってみっか。と思い、とりあえず記事主旨の確認をすべく、こう書いた。

「140字でやりとりしますか。最初に伺いたいのは今回の記事の論旨です。『復興のために、被災者にはバイクという選択肢がある』ということでしょうか?x」

最後の「x」は勢い余って打っちまったもので、何か特殊な暗号とかいうわけじゃない。しかしその「x」が不気味だったのか、小林さんのリアクションは途絶えた。説得力のある対論を待っているのかもしれない。

一方、自分が最初に書いたツイート「二輪業界と……(以下略)」も、140文字しかないとはいえ乱暴すぎるきらいがある。そこでとりあえず自分の考えをツイートしよっかな、と思ったが、書いてるうちに例によって長くなり、18ツイート分にもなっちまった。

タイムラインにブチ流そうかとも思ったが、興味のない人にとっては大迷惑だ。自分がそんなことされたら、「キーッ」てなると思う。「キーッ」て。かといって消してしまうのももったいない。そこで、当ブログに掲載することにした。

「である」体なのは、文字数を抑えるためで、他意はない。小林さんはバイク雑誌業界の大先輩で、小林さんは(たぶん)オレのことを知らないが、オレは小林さんのことを知っているし、敬意も持っている。対論だなんて、そんなアグレッシブな気持ちはないんだ。

単純に、今回の小林さんの記事を読んで感じた違和感の正体を、まとめておきたい。

〜以下、一段落140文字以下〜

小林さんの記事は「二輪業界は趣味性を追いすぎ、バイクは一部のマニア向けに淘汰されてきた。しかしバイクは本来的に利便性が高く、震災地でも有効ではないか。被災者の方にはバイクという選択肢があり、復興に一役買えそうだ」とまとめられる。

確かに被災した方たちには、バイクという選択肢がある。足としてバイクを選ぶ人もいれば、選ばない人もいるだろう。それを差し引いても、今回の記事にはいくつか引っかかりを感じる。被災した方という特別な対象に至る前に、普遍的な話題としていくつか記しておきたい。

まず「バイクは趣味の乗り物である前に、移動するための乗り物である」という「主張」。これは「バイクはタイヤがふたつである」と同程度の大前提であり、それ以上のものではない。そもそも乗り物とは移動するもので、「バイクは移動するための乗り物」という主張は、当然すぎてさほど意味を持たない。

「移動するための乗り物であるがゆえに、他の交通との共生が最重要性能」と続くが、原付スクーターや、スーパーカブや、スーパースポーツにおける「他の交通との共生」とは、どんな状態を指すのかイメージできない。その理想的様態を示してほしい。

そして過去のブログ記事から、このような記述が引用される。「確かに、バイク業界は過去、生活必需品・社会の必要性から発展して、80年代にはバイクブームを経て“趣味の乗り物”として一部マニアのものだけに淘汰されてしまった感がある。」

ここが【二輪業界と二輪誌業界の混同】と感じた。趣味性重視は二輪業界の一部、殊に二輪雑誌業界であり、少なくとも二輪業界全体ではない。業界の主要構成要素であるメーカー、販売店ともに熾烈な生き残りを賭け、極力需要を逃さない。利便性を求めるユーザーも当然含まれ、むしろ主ターゲットだ。

社団法人日本自動車工業界の調べでは、2009年度における新車全国出荷台数のうち81.8%が原付一種・二種が占めている。逆に251cc以上の軽・小型二輪の比率は18.2%に過ぎない(さらにスクーターを除く「オン・オフスポーツ」はわずか12.2%)。

同調べでは、新規二輪ユーザーの購入前期待度は「1位:自転車に比べて楽」「2位:燃費のよさ」「3位:維持費の安さ」で、以降「11位:駐車スペースを気にしなくてよい」に至るまですべて利便性に関わる項目だ。ここからは「趣味の乗り物として一部マニアのものだけに淘汰された」形跡は窺えない。

もしバイクがマニアックな趣味の乗り物に特化しているなら、「新車販売台数の8割が、利便性の高さを求めるユーザーが購入した原付一種・二種である」という実態は、事実上あり得ない。逆説的に、業界は十分に利便性の高さをアピールできており、市民感覚として概ね浸透していると言える。

問題は「にも関わらず総需要が減少し続けている」ことだ。もちろん利便性のさらなるアピールも必要だろう。しかし利便性だけが商品購入の動機ではない。そこでは、金額や実用性に留まらない幅広い意味でのコスト意識や、気分、時代背景などが存分に加味される。

「利便性もあって、安い。でも買わない」という状況(+さまざまな要因)が総需要の減少を招いているのだ。端的には、他の商品やサービスに比べてバイクに魅力を感じないから買わない、ということ。利便性や安さ以外のバイクの魅力について、伝え切れていないことに要因があると考えた方が自然だ。

その魅力は、まさに趣味性の内にある。実用一辺倒ではなく、実用的でありながら趣味的でもあるという二面性がバイク特有の魅力だ。同調べでは、購入前の期待に対し、使用後の満足度の高さの方が上回った項目として、「渋滞回避」「解放感」「爽快感」「スピード感」を挙げている。

つまり「実用性・利便性に期待して買ってみたら、意外と面白かった」ということだ。この驚きと喜びの有効な訴求が、二輪業界の存続に関わっている。実用性の高さはすでにある程度知られている。そのアピールは継続するとしても、その先にある魅力の伝達こそが必需なのだ。

ここまでが普遍的な話。ここからは震災・被災という特別な状況下での話。

記事の主旨である、被災者の方々にとってバイクが有益であるかどうかは、氏自身が悪天候や気温変化に対する脆弱性、安全装備やスキルや整備知識の必要性などを挙げ、「気軽に、無邪気に、誰にでもおすすめできる乗り物でもない」と懐疑的であるように、決して容易な話ではない。

通常の生活において、バイクは概ね「いつ、何があるか分からない」という不確定要素として存在しており、ライダーはそのリスクを管理している。しかし生活基盤自体が不確定な時、若干の利便性のためにさらに不確定要素を内包する乗り物を勧めるべきかどうか、ためらいがある。

殊に今回の被災者は高齢者が多い。氏自身「まだ18歳になっていないけど、とりあえずの移動手段が欲しいという人は、バイクという選択肢があることを考えてみてもいい」と、相当限定的かつ慎重な言い回しをしている。今は、救援者がスキルを生かして有効にバイクを活用すべき段階だ。

自分が依って立つものが、世の役に立ってほしいと願う気持ちは、とてもよく分かる。でも被災者の生活にとってバイクが有効かどうかを、バイクに乗れるオレたちが決めたり押しつけるべきではない。求められた時に、求められることを。被災地を、業界PRや安易な自己確認の場にしてはならない。

おわり。

一段落140文字ペースが身に付いたらどうしよう。そうだ、来週はアメリカンに乗るんだぜ。すげぇ。アメリカンですよ。やっぱタンデムシートには、星条旗のビキニ着た金髪のボインを乗せちゃうのかな。いや乗られちゃうのかな。こえー。こえすぎるぜ。肉食ってるヤツらはにほんブログ村 バイクブログ バイク モータースポーツへ←ケタ外れのクリック力だよ!

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コメント

ちょっと興味を持って成り行きを見てたんですが…

今となっては金髪ボインの方が気になったりして(^o^;

投稿: ca-ni | 2011.04.01 22:04

>ca-niバーガーさん
と、勝手に「バーガー」を付けると一気にスポンジボブ。しかし金髪ボインまで到達したということは、あの長文を読み切ったということ。すげえです!

投稿: ごう | 2011.04.01 23:03

難しいことは解りませんが、バイクという乗り物は、ある人には楽しい趣味。ある人には生活必需品。ある人には単なる移動手段だったり。

趣味としてバイクに乗る私としては、被災された方々が、早く落ち着いた暮らしが出来るように、祈るばかりです。

又、同じ趣味を持つ方が、また楽しくバイクに乗れる日が来るといいなって思います。

最後に、私が情報発信者の方に期待することは、良くも、悪くも、こんなバイク乗りてー、これは無いだろなんて、わくわく、ドキドキさせてくれるようになんて思ったりします。

投稿: 狭山の同志 | 2011.04.01 23:19

>狭山の同志よ!
オレも難しいことはよく分かんねぇ(笑)。でも同志が言う通り、「乗ってみてぇ!」と思ってもらうことがとても大事だと常々思っております!

投稿: ごう | 2011.04.01 23:47

私はバイクを趣味でも、実用でも使ってる人間で、
600ccの趣味用の方で、近所にお買い物という気にはなりませんが、
人によってはぜーんぶスーパースポーツでやってますって人もいるわけですよね。

2輪誌業界がレッテル貼って、一部のライダーにはそれが浸透、
大多数の世間には何も伝わっていない、
と感じています。
だから2輪誌が悪いと言いたいわけではないのですが・・・。

色眼鏡を外して、業界全体でがんばっていただきたいと。

投稿: jose | 2011.04.02 11:26

>joseさん
ひと記事書いてみました。joseさんへの返信になったかどうか自信がありませんが、ご一読いただければと思います。よろしくお願いします。

投稿: ごう | 2011.04.02 23:07

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