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自転車への愛、バイクへの恋

町行く自転車を見ると、いつも悲しくなる。

サドルが異常に低く、ハンドルが異常に近く、膝も腕も曲がりまくりのちんちくりんなポジションで、ギシギシ言うサビッサビのママチャリに、中学生高校生軍団がかったるそうに乗っているのだ。自転車への愛も思いも知識も関心もまったく感じられない。

彼らは自転車に対して、「歩くよりラクだし」「むしろジャマくせぇし」ぐらいの感覚しか持ち合わせていないのではないかと思う。興味を持ってもらえず、ガシャガシャに扱われ、何しろ1万円もしない安さだし、盗まれようが壊れようがサビようがまるで気にされず、朽ち果てていく自転車。

おかしくね?

初めて補助輪なしの自転車に乗った時の感動は、誰もが共有できるものだと思う。絶対にひとりでは乗れないと思っていた自転車が、フワッと自分のものになる瞬間。うおお、乗れたじゃん! どこまでも行けそうじゃん! 自転車サイコー! ……なんて言葉もないほど幼い頃の経験だけど、確実に、100%、強烈に、心が揺さぶられたはずだ。

だって、補助輪なしの自転車って、支えがないんだぜ? 放っといたら倒れる乗り物だぜ? しかも転ぶと結構痛ぇし。あちこち打って血ぃ出たりするし。そんな恐ろしい乗り物を、自分の力だけでバランスを取って、どうにかこうにか走らせるんだ。

すンげぇことだよ!

子供が挑戦するものとしては、おそらく幼少期最高峰の難易度。だから成し遂げた時には、最高峰の喜びを誰もが体感したはずなのだ。

だから「自転車すげぇ」「(ささやかながら)オレすげぇ」と思っても、ちっともおかしくない。オレなどはまさにその口で、小学生の頃はチャリンコ命の悪たれ坊主だった。

チャリンコ命とは言っても、扱い自体はザツだった。まぁ若い時ほど命を粗末に扱うもんだ。でも自転車には特別な思いがあった。そのあたりの話は、別冊付録「自転車にスポーツする」にひっそりと書いた。扱いはザツだったけど、今のような使い捨て感というか、無関心さはなかった。簡単に言っちゃえば、自転車が好きだったんだ。

オレの場合は、スピードと距離感がたまらなかった。とにかく速く、そして遠くへ。自転車は、ガキ時代のオレにとって、「速く、遠く」を叶えてくれる唯一のアイテムだった。オヤジにはよく「おまえは逃避癖があるな」と笑われた。靴、カバン、そして自転車が好きだったからだ。

バイクはその延長線上にあったんだ。自転車→バイクはものすごく自然な流れで、ウンコしたら水流す、ぐらいナチュラルだった。中1の時、学校の2階から落ちて右肘柱頭骨折し手術・入院の憂き目に遭ったオレは、病院のベッドでバイク雑誌を読みあさっていた。1982年、フレディ・スペンサーがGPにフル参戦し始めた年だ。

レース熱、レプリカブームの後押しもあって、「ケッ、自転車なんてよー」とアッサリ鞍替えしたオレは、16歳の原付免許取得以降、バイク道を転がり落ちていくわけだが、原体験としての自転車の存在は極めて大きく、今になってロードバイクに乗り始めたりして、でもやっぱりバイクも面白かったりして、オレの中では自転車とバイクは非常に密接な関係が保たれている。

くどいようだが、ベースは自転車との付き合い方にあった。どうやってバランスを取るのか、どう漕げば効率よくスピードが乗るか、どのギアを使えば疲れにくいのか、滑ったらどうなるのか、ココをいじるとどうなるのか、ココを手入れするとどうなるのか。バイクライフに必要なことのほとんどを、自転車から学んだ。

翻って、今の一般的な若者の自転車との付き合い方を見る限りでは、そのままスムーズにバイクに移行するとは、到底思えない。自転車への愛なしに、バイクへの恋もあり得ないのではないかと思うわけだ。

何が言いたいのかって?

分かんない。

けどさ、由々しきは二輪車ユーザーの平均年齢だ。47.4歳だっつうんですよマジかよホントかね(社団法人自動車工業会・2010年3月発表「2009年度二輪車市場動向」より)。50代以上48%、40代23%、30代16%、20代8%、10代4%だってよヒョエー! 10代と20代を合わせても12%しかいねぇ……。

あまりにビックリしたから、苦手なエクセルを駆使して超高精度円グラフを作成してみた。

Graph01

うーむ、もうちっと分かりやすくすっか。

Graph02

もうね、ほとんど大人ですよ。もちろん、今のバイクユーザー受けを狙うなら、でっぷりたっぷり金も時間もありますがなワッハッハ的なアダルトライダーをターゲットにすればいい。短視眼的には、それでとりあえず何とか持ちこたえることができるかもしれない。

でも恐ろしいことに、後がない。まるっきり。だって10代と20代を合わせた比率は、01年度は35%あったんだよ? 以降2年ごとに31%、24%、17%と見事に減って、09年度は12%にまで落ち込んだっつうワケだ。少子化以上の進度で若いライダーは減りまくり、絶滅の危機に瀕している。

自工会のデータの信憑性や確度について裏付けを取ったわけではないが、体感的直観的に若いライダーが減っているという手応え(つうのは変か)は、確実にある。

金も時間もありますがなワッハッハ〜のハ〜、と笑いながら後ろを振り返ると誰も着いてきてなくて、茫漠として何もない荒野が広がっているのだ。背筋が寒くなりますでしょう?

無責任にざっくり書いてしまうけど、今、40代以上の人たちは、自転車にも愛をもって接していた世代じゃないかと思う。自転車に限らず、モノに対する素朴な愛着を持てた世代じゃないかな。そういう人たちがお金と時間を持つ年代になり、バイクや自転車(ロードバイク)に目が向いてるってのはあると思う。

でも、今の40代以上なんて、どうせあと30年もすりゃほとんど死んじゃうんだ(げっ! オレもだ!)。後に残るのは、モノに対してさほど執着がなく、乗り物で何かしようなんて想像も付かないママチャリギコギコ世代なんだぜ? そんな世代の人たちに、雨に濡れ風が冷たく危なくて死んじゃうかもしれない乗り物に乗ってもらおうってんだぜ?

やばいやばいどうするどうするなにができるなにができる?

……なんだろう?

何となくだけど、子供のうちから自転車への興味・関心・愛着を持ってもらうことは、バイクにつながる大きな道筋になるんじゃないかと思うんだ。

だって、ほとんどの子供たちが自転車で「すげぇ!」という2輪的原体験をしてるわけで、しかもその後おそらく10年以上は自転車=2輪と濃密に付き合っていくんだ。自転車への興味・関心・愛着の醸成育成は絶対にムダじゃねぇ気がする。

しかも、バイクに乗せることに比べれば、はるかにラクだ。「子供の時からバイクに乗ろう!」っていうのは、やっぱり相当にハードルが高い。免許がない人々だから、どうしたってクローズドコースでのバイク、ポケバイ、ミニバイク、モトクロスなどになる。それはモロに競技競争の世界で、一般的なイメージでの「バイクライフ」とはちょっと違う。やれトランポだ、ウエアだと用意しなきゃいけないギアもたんまりあり、そう簡単に始められるものじゃない。

もちろんリアルレーシングを盛り上げる──というより存続させる──ためには、そっちもそっちでテコ入れが必要だ。オレはリアルレーシング好きなので、ソレはソレでソレっぽく考えたい。でもソレは本当に先鋭的な話。もっと大きな目で見て、ひとりでも多くの子供・若者に2輪つう乗り物に面白みを感じてもらうことも、ものすげく大事なんじゃねーかと思う。

2輪を操ることの面白さ、難しさ、達成感、気持ちよさ。メカニズムと自分との融和感。メカいじりの楽しさ、難しさ。交通社会の一員としての責任感や守るべき義務やマナー……。ちっこいうちから自転車を通じてそういうさまざまを知ってもらうのは、バイク業界にとっても、将来的にすごく意味があると思うんだよなぁ……。

そりゃあ直接的じゃないし、時間がかかる話だし、どんな効果が望めるのかちっとも分かんない。でもさ、「こういう世界を創りたい」という明確なビジョンと説得力と熱意があれば、それなりに「価値ある動き」になると思うんだ。「こうしたい。だからこうする」って、ハッキリ目的地が見えていた方がずっと楽しい。

自転車を、バイクにつなぐ。
自転車に愛情を持ってもらい、それをバイクに結び付ける。

同じ2輪なんだ。
何かできないもんかな。

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コメント

はじめまして!
僕は今21歳で18歳の時からバイクに乗っています。バイクに乗るきっかけとなったのは普通免許のおまけで初めて乗った原付スクーターで、その時の感動はまさに“初めて補助輪なしの自転車に乗った時”と同じものでした。同世代の原スク乗りが何故、趣味としてのバイクに目覚めないのか不思議で仕方ありません。

投稿: あきら | 2011.03.01 21:32

>あきらさん
本当に不思議ですよねー。なんで目覚めないんだろう。……でも、目覚めない人がほとんどの今、知りたいのはむしろ、「あきらさんがどういう経緯で目覚めたのか」ですよ。なんでなんで?

投稿: ごう | 2011.03.02 12:24

落ちて折るのが得意なんだということが解っただけでも有益な記事でしたよ

あ!ご無沙汰してます。

投稿: しの | 2011.03.04 01:51

>しのさん
ご無沙汰です! ちなみに左鎖骨を折ったのは大学生の時。当時ブイブイやっていたレーシングカートで遅いマシンに幅寄せされ、接触→横回転飛翔→クラッシュパッドにボスン→ボキンでした。

投稿: ごう | 2011.03.04 12:05

ごうさん、はじめましてです。
高校2年の頃に9R(B型)に一目惚れして以来、10年越しの片想いを経て二輪免許を取った意気地なしの34歳デス。カワサキ一筋で今の愛機は6R(C型)。
初めての二輪的「すげぇ!」体験は今でもはっきりくっきり覚えてます。モーターバイクに目覚めた瞬間も。それは高校1年の頃、何気なく眺めてたバイク雑誌を見てて「カッコいいなーちくしょう。でもとても買えんし」と思っていたのが、中古の値段が目に入ったとき「ん?俺でも頑張ってバイトすりゃ買える値段じゃん」って思った瞬間。つまり「傍観者」から「当事者」になった瞬間でした。
個人的にはどうもママチャリギコギコ世代は自分で何かやる前に傍観者的な、三人称的な視点だけで自己完結してる人が多いような気がしていて、それが「目覚め」につながらない原因の一つのような気がします。思いっきり偏見ですが。
・・・って、はっ!うっかりボタンを押してしまった!マウスのボタン周りのパーツが磨耗してしまう!

投稿: のぶ | 2011.03.09 03:22

>のぶさん
「カッコいいなーちくしょう」ってのも、「中古の価格でライダー覚醒」ってのも、すげーリアルですね。バイクを買えなきゃライダーになりようがないもんな……。

ママチャリギコギコ世代(笑)。自分でやってみなくても分かっちゃう(もしくは分かったような気になる)ことが多い世代ってことでしょうか。リュック背負ってノロノロ山に登るじーさんばーさん世代の方が、まだ自分の身体感覚を大事にしてるのかな。

「うっかりボタン」毎日押下!

投稿: ごう | 2011.03.09 17:40

>ごうさん
>自分でやってみなくても分かっちゃう(もしくは分かったような気になる)ことが多い世代ってことでしょうか。
そうそう、そうです。少なくとも僕が高校生や大学生の頃はネットみたいな便利なものもなかったけど、精一杯想像(妄想?)してた気がします。今は情報過多なのかもしれません。
>自分の身体感覚を大事にしてる
「身体感覚」って良い表現ですね。今バングラデシュっていう国に住んでいて、人に少しだけ何かを伝える、という立場にいるんですが、肉体労働も頭脳労働も、身体感覚っていうのがすごく大切だと実感してます。その意味からも、「自転車を、バイクにつなぐ。自転車に愛情を持ってもらい、それをバイクに結び付ける。」が具体的な形に実を結んで欲しいな、と切に願います。

投稿: のぶ | 2011.03.11 03:36

>のぶさん
過多な情報に飲み込まれず、身体感覚を信じ続けることは、とても難しい。でも、人間が今の体格、今の形態である限りは、身体感覚の重要性は変わらないような気がします。

いろいろな条件や環境が変化していて、若い世代への要求値は、オレが育った時代よりもはるかに高い。けれど、壁を乗り越える人もいる。……いてほしい。いるよね? いて!

自転車∞バイク関連、具体的に考え始めてます。どんなにささやかでもいいから、考えたことが形にならないと面白くないもんね。

投稿: ごう | 2011.03.15 03:53

Takahashi Go様  こんにちは

 2輪車ユーザーの平均年齢47.4歳だと知り、エーっ!そうだったんだと、ちょっとビックリしました。そういえば若者より圧倒的にオジサンが多い。それもリッターバイクばかりで、ホンダのでっかいクルーザーのようなバイクライダーのトランク、一体何が入っているのかなあ。キャラメルコーンだったら可笑しい。
 ここ10年程乗ってませんが僕は大昔のホークII時代に中免を取りました。そのころはHY戦争があり毎月毎月新型車が発表されて、いまから思えば至福の世界でしたネ。別モとライダースクラブを買ってました(他誌でスイマセン)。時々、当時の風や雨の匂い、エンジン切った後のチンチンする音や油の匂いを想いだします。
 今ならカブ110なんかに乗ってみたいなあと思います。「小さなバイクを止め風を見送ったとき季節がわかったよ(byユーミン)」の心境です。
 それからサンバー記事もたまにはお願いします。時期機種の候補で、車中泊用に考えています。

投稿: リュウセイ太郎 | 2011.09.09 14:36

>リュウセイ太郎さん
「乗ってみたいなあ」と思った時が乗り時ですよ。カブ、いいじゃないですか。オレもよく「カブみたいなバイクで、すっげー遠出とかして夜通し走って夜中の3時ぐらいに眠くて途方に暮れてみたいな」と思う時があります。

サンバー愛は相変わらず過熱気味です。乗れば乗るほど、ホントにいいクルマです(5MTに限る)。いずれまた記事を書きたいと思ってますが、めんどくさくて(笑)。

ちなみに、たまにですがライダースクラブでもお仕事させてもらってますので、ご愛顧のほどよろしくお願いいたします。

投稿: ごう | 2011.09.10 10:32

はじめまして。

激しく共感したので書き込ませていただきました。
こちとら弱冠22歳、グラフ8%の大学生です。ZZR250乗りです。平均年齢を見て愕然としました・・・そりゃあツーリング先でもリッターのおじさんばっかりなわけですね。
ブームの頃にバリバリ走ってた方々が今はリッターに乗ってるんでしょうね。うらやましい限りです。
まさしく今、青春を謳歌している私としては、現状の中型ラインナップは悲しい限りです・・・古い雑誌をめくっては生まれるのが20年遅かったと後悔をする日々で(笑
周りで乗ってる人はほんと少ないです。(原付はたくさん。。。)勧めたいのは山々なんですが、事故とかかかるお金とか考えたらそうたやすく「乗りなよ!」って言えないですね。
%の数字を増やすんでなく、8%内の「濃度」を上げていけばいいんじゃないかなぁなんて考えました。


投稿: adana | 2011.10.10 06:46

>adanaさん
すいませんねオッサンばっかりで。しかし、当時バリバリ走ってた連中は、どっかおかしいですよ(笑)。あの時代を基準にしたら、何かを大きく見誤ると思います。20年前に生まれてバイクに乗ってたら、死んでた可能性大です。

いいっすね、ZZR250。乗ったことあるけど、ツアラー然とした風格がありますよね。ぜひバリバリと青春を謳歌しまくって、積極的に勧めなくてもいいから「ふんふんふーん♪ オレ、楽しんじゃってるもんねー」オーラを振りまいちゃってください。それだけで十分、adanaさん周辺のバイク濃度が上がると思います。

投稿: ごう | 2011.10.10 11:53

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