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YZF-R1に乗った

戦闘機乗りになりたかった。

高校の時、街中にある「自衛官募集」のポスターにくっついてた資料請求のハガキを送ったところ、速攻で制服を着た航空自衛官がやって来た。「今なら幹部への道も開けております!」とビシッと言われ、そのあまりの熱意にビビッて、それっきりになってしまった。

すげー後悔している。めちゃくちゃ後悔している。ホントに後悔している。人生やり直せるなら、「今なら幹部への道も開けております!(ビシッ)」と言われたあの瞬間に戻り、オレもビシッと「ヨーソロー!」と即答したい。……ん? なんか違うな。「レンジャー!」だったかな。まぁいいや。

YZF-R1は、クロスプレーン型クランクシャフトを採用している。クロスプレーンガタクランクシャフト、である。意味が分からない。「黒・スプレーン・ガタク・乱・クシャ・太」と書けばちょっと分かる。黒い謎の物体・スプレーンがガタガタと乱れててクシャクシャで太いんだと。ゆーことである。

実際乱れとる、最近のR1は! 大いに乱れとる! 爆発間隔が乱れとるわけですよ! 普通はバンバンバンバンと規則正しく爆発するエンジンが、バン…ババン…バンババン……ババンババンバンバン、はービバロンロン、という具合に、爆発の間隔が乱れとるわけである(註・テキトーです)。

それが何だ? 何が起こるっていうんだ?

アイドリングからしてエンジン音が違う。グロゲロゴロログルグルルルゥッと言う。下痢の時、お腹がグルグル鳴りますでしょう? あんなイメージですよ。さらに回してみると、ビルミョーングルミョーングミョーン(すっげぇ早口で)という感じの音がする。

……擬音に頼る原稿……? どっかで読んだことあるな……。

いや、擬音でも表現しきれてねーな。とにかくR1は野獣のようにガルルルグルルル言ってて、フォーンといういわゆる普通の直列4気筒とはエライ違いなのだ。

そしてオレは普通の直4の「フオオォォォーン」が大好きである。エンジンは精緻精密無味無臭乾燥殺伐五里霧中の方がいい。変なテイストとか鼓動感とかそういうものにあんまり興味がなく、ヒュンヒュンと何のためらいもなく一直線もしくは二次曲線的に伸びまくる方がいい。

戦闘機乗りになりたくてなれなかったオレにとって、理想のエンジンはジェットエンジンなのだ。味わいもクソもねぇ、ひたすらヒュイイイィィィン、と果てしなく回ってくれりゃそれでいいのである。

そんなわけで、グロゲロバロベロというあまり聞いたことのない音を奏でるR1のエンジンには、最初あまりいい印象を持っていなかった。ちょっと乗っただけでは、グロゲロバロベロ音が気になって気になって、違和感を覚えるばかりであった。

しかしR1には結構長く乗る機会があり、しかもすでに何度も何度も何度も何度も乗らせてもらっている。

そして、乗れば乗るほど「…………うーむ、いいなぁ、R1のエンジン……」と感じ入り、「とてもいい アールワンエンジン すごくいい(字余り)」と俳句まで詠んでいる自分に気付いてしまったのである。

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↑こうしてサンバーにもズッポリと搭載できるのである。ズッポリ。

やべぇ。戦闘機みたいな精緻精密無味無臭乾燥殺伐五里霧中エンジン好きのオレなのに(戦闘機が本当にそうなのか分かんないけど)、なんでグロゲロバロベロのR1のエンジンが気に入ってしまうんだ……?

ついこの間もR1で街乗りをしたのだが、ヒジョーによかった。ホント、ヒジョーによかった。特にいいのは、スロットル一定の定速走行時だ。R1のエンジンが、フワーッと溶けて消えていくのだ。まるで最高級フォアグラのように食べたことないけど……。

ホントに消えちゃったら引田天功もクリビツテンコーの大イリュージョンなわけで、あくまでも印象なのだが、エンジンがスーッと消え去って、何も感じなくなる。見事に。きれいさっぱりと。

このエンジン消え去り感覚は、もう少し分解が必要だ。

普通は、乗り手である「オレ」、そして乗られ手である「エンジン」は、ハッキリ別々の物体だ。それがR1の場合はジョワーッニュワーッと一体化して、「オレエンジン」そして「オレンジン」さらには「オレンジ」にまで融合してしまうような感覚なんだ。

これを「R1オレンジ融合感覚」と呼ぼう。オレが。オレだけが。いいのいいのオレだけが分かれば。

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サーキットでは常に加減速をしていて、定速走行なんかしない。にも関わらず、ちゃんとR1オレンジ融合感覚が味わえる。とても不思議なフィーリングだ。

オレに握手を求めた男(実話)、バレンティーノ・ロッシが、「黒・スプレーン・ガタク・乱・クシャ・太」搭載のMotoGPマシン・YZR-M1に乗った時、ひとこと「甘!」と言い放ったらしいが、それはオレンジの甘さを指しているに違いない。恐るべきことに、オレとバレは同じ甘さを共有していたのである!!!(ウザ……)

メーターまわりの見た目のデカさとか、フロントの意外な重ったるさとか、寝かせにくいハンドリングとか、デカいマフラーとか、気になるところはチョビッとある。でもホントにチョビッとだ。

そんなことより、R1でしか味わえない鮮烈なオレンジの甘さを楽しんだ方がいい。

お店で「エンジンかけさせてくださーい」なんつって、グロゲロバロベロというアイドリング音を聞いただけじゃ、分からない。「ちょっと試乗させてくださーい」と長方形コースを5分ぐらい走っても分からない。濁った音にだまされて、オレンジのクリアな甘みに到達できないのだ。

丸1日、あるいは丸1年、あるいは丸1世紀、あるいは丸1千年紀と、乗れば乗るほど、熟成したオレンジのまろやかな甘みを味わえるだろう。腐っちゃってるかもしれないけど。

オレとエンジンが合体して、オレンジ。オレンジレンジ。オレンジレンジでチンしてチンさむロードきまぐれオレンジ☆ロード僕のポテトはチンチンチンチンチン〜

ま、こんなところで。
以下余談。

つい最近R1で街乗りした際、ほとんどハンドルに体重を乗せていない自分に気付いた。無意識にガッツリと下半身ホールドしていて、上体がないみたいな感じだ。ハンドルには本当にふわりと手を添えているだけ、という状態で、非常に滑らかにバイクを操作できた。

ここんとこロードバイク(自転車ね)に乗りまくっているから、としか思えない。

ロードバイクは構造上ニーグリップなど不可能だ。上体を支えるために腹筋背筋足筋を駆使するのはもちろん、前傾姿勢維持のため足に力が入る→必然的にペダルを回さざるを得ない、という驚異の強制回転システムだ。スピードを出せば出すほど上体がラクになり、さらにスピードを出せる。人体エネルギーをちうちうと1滴残らず吸い尽くすタガメみたいな乗り物、それがロードバイクなのだ。

オレのロードバイク経験はペーペーどころかパーパーであり、恥ずかしくて「ロードバイク乗り」なんて言えないレベルだが、それでもバイクに乗ると、いつの間にか鍛えられていることに気付く。人力二輪車と原動機付二輪車の相互関係についてはもっと体験したうえで考察検証午睡寝坊大慌大損したいので、ロードバイクはロードバイクで頑張りゅ〜!

というわけで、自転車ネタに特化したブログをおっぱじめました。

自転車でスポーツする

更新頻度は自転車ブログの方が全然高い感じです。だってバイクの方はモロに仕事が絡んでるから、好きなようには書けねーんだもん。「このネタは雑誌が発売されてからじゃねーとマズイよなー」とかいってタイミングを計ってるうちに書くのめんどくさくなるしさー。

まぁいいや。

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コメント

直4と戦闘機…で先週目撃した『FZ250PHAZER』を思い出しましたsweat01今では既に旧車、それに小排気量ですが当時のバイクらしからぬ印象がいまだに頭から離れません。『マイクロマジック』なみに古いので世代的に伝わると嬉しいのですが例えがcheapですみませんcoldsweats02ちなみに何故か関係ないのにママレードボーイも思い出しちゃいましたbearing

投稿: 眉 | 2011.01.30 00:25

>眉さん
まさに! フェーザーじゃないんですが、CBR250F(とNS250R)がオレのバイクライフに大きな影響を及ぼしたんですよ。CBRの2万回転表示タコメーターにはシビレました。普通の音感覚で7000rpmぐらいでシフトアップすると、原付のおばちゃんに抜かれたりするんですよね。今改めて乗ってみてぇ……。ママレードボーイは初めて聞きましたが、ママレードとマドレーヌをしょっちゅう混同します。

投稿: ごう | 2011.01.30 21:06

お~呼吸する精密機械『メカマックス』ってカタログにありましたよねhappy01官能rpm。カムギアトレーン。たくさんフレーズが甦ります!ホントあの頃のバイク(特に88年前後)に改めて乗りたいですconfident

投稿: 眉 | 2011.01.30 23:57

>眉さん
そういえば以前、RZ250Rに乗せてもらったことがあるんですが、正直「げ、こんなに遅かったっけ!」と驚いたことを思い出しました。高校生の頃は「こんな恐ろすい乗り物が地球上にあっていいのか!」と思っていたのに。当時に比べて身体能力的反射神経的には明らかに劣っているはずなのに、何なんでしょうか。今のバイクって、気付かないうちに凄まじい領域に人間を誘い込んでるのかもしれませんね。メカマックス……。オレは東MAXの方が好きだ!

投稿: ごう | 2011.02.06 23:27

公道とサーキットの違いはあるでしょうけど何より様々な最新鋭車のハイリスクな仕事をこなした経験値とバイク自体メーカーがチカラを入れるクラスが変わったからですかね~。小排気量の同クラスなら昔のモノのが過激な感じがありますから…。しかし今のSSクラスはすごいんですよねsweat01厳しい規制の枠がなかったら空を飛びそうな気がします。

投稿: 眉 | 2011.02.07 00:59

>眉さん
きっと人類全体が進化して許容スピード領域が高まってるんですよ。オレの予想では、100年後のスーパースポーツの最高速は1200km/hを突破しています。

投稿: ごう | 2011.02.10 22:48

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