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自転車でもバイクでもスポーツしたい

先日、Numberの取材でインタビューした時、高橋裕紀選手にリヤを滑らせる理由について聞いた。

「フロントに頼れないから、向きを変えるためにはリヤを滑らせるしかない」が、答えだった。

彼のマシンのフレームは、フロント剛性に難があり、いつフロントタイヤが滑るか分からない。本当はフロントタイヤを有効に使って向きを変えた方が、効率もタイヤの保ちもいいが、それができないのだ。だから半ばムリヤリにリヤを滑らせて向きを変えている、ということだそうだ。

当然リスクは高い。でも彼は、「与えられたパッケージで、どうすれば最も速く走れるのか」だけを考えている。つまりあれは、今の彼にとって最も理に適った走り、というだけのことなんだ。

単純にマネすればいいってもんじゃない。高橋選手には高橋選手の、アナタにはアナタの、そしてオレにはオレの「もっとも速い走り方」がある。

今季の高橋選手は、レース後半に追い上げる展開が多い。「ライバルたちは序盤にフロントタイヤを使い切ってしまい、ペースを落とさざるを得なくなる。でも僕は最初っからフロントタイヤで攻められない分、逆に最後まで同じようなペースで走れる。僕のペースが上がっているというより、周りが落ちていく」のだそうだ。

いつ滑るか分からないフロントタイヤに怯えながら、リヤタイヤを滑らせることで安定したペースで走っている高橋選手。すげぇ……。同じ「高橋」の姓を名乗る者として、私は彼を、心から誇りに思う。そして、こんな意味不明なオチで書き逃げする自分も──。

はい今回はここまで。ささ、とっととこのボタンにほんブログ村 バイクブログ バイク モータースポーツへをクリックしてお行きなさい。これ以上読んでも、さほどのことはないから。さ、お行き。ここはあなたの住む世界じゃないの。ユパさまー!

さて、これはある朝の話だ。

すでに自転車用ウエアを着込みボトルにスポーツドリンクを注入しているにも関わらず、愛車TREK2.1を前に悩んでいるオレは乙女座。

「あーもう、めんどくせーなー。なんか軽く頭も痛いしちょっと咳っぽいしそういえば何となく熱っぽいような気がしないでもないし、やっぱ今日はやめとこっかな」

とか言いつつ、なぜかしぶしぶ自転車に乗り始める。ペダルを回す脚が重い。気分は全然乗らない。ちょっとした風も強烈な向かい風に感じる。

30分も走れば、そこは山だ。つまり上りである。ますます気分は重くなる。

「やってらんねーよ、ったくよぅ」

黒いニンジャ250Rがすぐ脇をトコトコトコッと駆け抜けていく。へっぴり腰のフォーム。ぶかぶかのジャケット。タラッタラした走り。全面的にカッコ悪いが、自転車に乗るオレよりはるかに速い。悔しい。

「いいな〜バイク。速ぇな〜バイク。右手をひとひねりするだけで、あんなにスピードが出るんだもんなー。すげーよな内燃機関。Ninja250Rですら。それに比べて何だよチャリンコはよう。オレがひーこら脚を回さない限り、ビタ1km/hたりともスピード出ないよ。ビタって何だよビタって」

バイクやクルマで何度も走った道だ。それだけに、余計堪える。

「もしバイクなら、このコーナーめちゃくちゃ気持ちいいのになあ」
自転車の速度だと、ほとんどのコーナーは直線に成り下がる。

「もしクルマなら、こんなの坂道とも思わないのになあ」
自転車だと、ちょっとした坂でもそれなりにしんどく、脚にくる。

「もしナニナニなら、ナニナニなのになあ」
そういう「仮定の理想」を胸に抱いていると、現実が余計に重く感じる。

やがて、峠が近付く。往路は約3.5kmのダラダラした上り。頂上からは一気に1kmほどで下り切る。勾配は約10%で、かなり爽快だ。しかし逆ルートになる復路は、1kmの10%勾配を上らなくちゃいけないわけだ。

「あの下り、すっげー気持ちいいけど、復路はすっげーしんどい上りになるんだよなー」
峠に近付きながら、さらに気が重くなる。

「どうしよっかな。ここで引き返せばラクなんだよな」
「あーホントにどうしよう」
「やめよっかな」
しかし、なぜか脚はペダルを回し続けている。坂が始まり、グッと重みがかかる。

「あーあ上り始めちゃったよ。やだなあつらいなあしんどいなあ。でも上り始めちゃった……からにはぜってぇ、ぜっ……てぇ止まらねえ! ぜってぇ足着かねぇ! 死んでも止まらねぇ! ぜってぇ上り切る。クソッ、クソッ、クソッ、回せ! 回せ! ペダルを回せ! 重てぇ! 苦しい! しんどい! でも回せ! よし回せ! そら回せ!」

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テンション激変である。
軽い頭痛も咳っぽさも熱っぽさも、すっかりどこかに吹っ飛んでいる。

「てめぇ!(自分のこと)回しやがれこの野郎!(自分のこと)ざけんな、ざけんな、ざけんじゃねーよ!(自分のこと)回せ、回せ、回せ、クッソ! クッソ! このクソ野郎!(自分のこと)」

10km/hを下回る。ああもう止まりたい。止まっちゃって小鳥のさえずりに心洗われたい。でもぜってぇ止まりたくない。上り切る。上り切ってやる。くはっ、ぬはっ、べはっ、はっ、ふっ、ひっ、ぬちゃっ、ぬぱっ、おぅ、わぉ、んん、あっ、ぬぽっ、あふっ、あへっ、ふぅ、のはっ、ぜってぇ上り切……………………ったぁ!!!!!

と感動する間もなく、一気に下る。すっげー速い。へっへっへ、もっと回してやるぜ! 調子こいてペダルを回しているとコーナーが激しく迫る。やばやばやば曲がり切れんのコレ速すぎじゃね? ぬおおおおおっ、軽〜くブレーキをなめて、ふぬぬぬぬぬっ、曲がり切…………ったぁ!!!!!

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あっさりと峠終了。

ここまでは、前にも来た。でも、同じことを繰り返していちゃあ、つまらない。もっと先に行ってみよう。どこまで行く? 分かんねーけど、とりあえず先に進もう。体調のことなんかまるっきり忘れている。

さらに8kmほどゆるーく上り続けると、湖への分岐点が現れる。自転車で来るのは初めてだ。結構遠くまで来た感があるが、距離にすると30km弱。何となく物足りなくも感じる。

せっかくだから湖面を拝みたいが、そのためには峠よりさらにハードな上りを制覇しなければならない。

やーめた。上ろう。え? 間違えた。戻ろう。戻る戻る。さっきの峠で死ぬ思いしてんだ。十分十分。湖なんかいつでもあるし。また来ればいいし。それにホラ、復路はさっきの山王峠をよりキツい側から上らなくちゃいけないし。やめやめ。戻る戻る。あれ? でもオレ、前に進んでる……。

そして湖に向けての地獄のような上り坂だ。さっきの峠と同じだ。「ぜってぇ止まらねぇ!」「ぜってぇ足着かねぇ!!」と、比喩じゃなくてマジで歯を食いしばって上る。上る。上る。上り切…………ったぁ!!!!!

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吹き抜ける風は最高にクリアだけど、なんつーか、やり切った感がない。もっと速く上れねーもんかな、と思う。達成感よりも悔しさの方がずっと大きい。「え? ここ、上り坂だったの? いやー気付かなかった。どんどん加速するもんだから、下りかと思ってたよ。わっはっは」ぐらいのことを言いたい。

自転車のヒルクライムなんて、ちょっとおかしな人のやることだ。何が楽しくて自転車で坂を上るのか、オレにはまったく意味が分からない。分からないのに、目の前に坂があると、つい上っている。上り始めると、ぜってぇ足を着きたくない。上り切ると、もっとどうにかなんねーのかと思う。

しんどいし、キツいし、やりたくない。だけど、そういう自分に負けたくない。そうやってどうにか何かを成し遂げたとしても、「もっと先がある」「まだ自分は足りない」と思う。

つまり、とことんスポーツなんだ。

そして復路の峠。さっき一気に下ったルートを、泣きそうになりながら上る。心臓はバクバクで、小鳥のさえずりどころか、「いいよ止まっちゃえよ。足着いちゃえよ」という悪魔の囁きが聞こえてくる。でもぜってぇ止まらねぇ。ぜってぇ上り切る。そして上り切ると、下りながら「うーん、全然修行が足りねぇな」と思っている。

延々と、この繰り返しだ。終わりがない。本当に終わりがないんだ。

バイクにも、オレは同じような「終わりなきスポーツ性」を求めるらしい(他人事風味)。

ここんとこ「バイクが欲しいなぁ」「何にしよっかなぁ」と、脳内車種選びを楽しんでいた。いろいろ考えて行き着いたのは、「結局オレはバイクでスポーツをしたいんだな」という結論だ。そしてバイクで「健全に」スポーツするなら、舞台はクローズドコースしかない。

バイクでサーキットを走るなんて、ちょっとおかしな人のやることだ。何が楽しいのか、オレにはまったく意味が分からない。分からないのに、ついサーキットを走っている。走り始めると、ぜってぇタイムを上げたい。そしてタイムが上がると、「もっとどうにかなんねーのかな」と思うのだ。

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自分なりの目標を課す。それをクリアする。物足りなくなる。もっと先に行きたくなる。

オレにとって、自転車もバイクも等しくスポーツギアなんだ。

本格的なヒルクライマーにとっては、オレがひーこら言っている峠など「ん? 坂なんてあった?」ぐらいのものだろう。バイクでのサーキット走行だって、オレなんか鼻毛レベルだ。

でも、全然構わない。人から見たらどんなにつまらないレベルでもいいから、スポーツ的なマインド──目標を課して、歯ぁ食いしばってそれをクリアして、さらに先に進む──を持っていたい。これはオレの気性だから、しょうがねーんだ。

つまり、とことんスポーツ。楽しいね!

来週、デンジャラスのノッチさんにインタビューすることになった。「Yes, we can」のオバマのモノマネで有名なノッチさんである。Yes, you can click!!にほんブログ村 バイクブログ バイク モータースポーツへ

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コメント

最近、スポーツタイプの細身のサドルによるEDが増えているそうです。
大切な所の血管を圧迫し痛めてしまう事によって、勃たなくなってしまうのです。
EDの急増したロス市警自転車パトロール隊は警らに使うマウンテンバイクのサドルを太い物に交換し、署員の股間を守っています。
あなたにも守るべきものがあります。

投稿: 院法展通 | 2010.10.13 13:56

なっ、なんと私が最も尊敬している
長谷川御大に走りを撮っていただくとは!

私、心底ヒルクライムが大好物なので、
GOさんの居住環境が正直うらやましいです。
先日もわざわざトランポに積んでツクバ、
もちろんサーキットじゃなく筑波山まで
行ったぐらいです。ヒルクライム好きの
共通見解は「下りはめんどくさい」です。
まぁ、とっととフラペを卒業しましょう。

投稿: ユウ | 2010.10.14 09:54

院法展通さん>
その兆しは(今んとこ)なさそうなので大丈夫です。守る必要なし! はっはっはっはははは……は…………は?(心配で覗き込んでる)

投稿: ごう | 2010.10.22 18:18

>ユウさん
あの写真、須走で取材の時にTREKを持っていって、取材後にひとりでヒーヒー走ってたら、たまたまガルルの撮影で来ていた長谷川さんに遭遇。機関銃のように106枚連射されたわけです。下りは音もなく忍び寄ったつもりだったのに、ガッツリとフレームに捕らえられました。フラぺ卒業したいよ! あ、例のブツ受け取りました。ありがとう!

投稿: ごう | 2010.10.22 18:21

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