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S1000RRに乗った

乗り始めは、とても怖かった。

これは非常に面白い心の動きだ。

例えば国産4社のスーパースポーツに乗る時、例えそれが新車であっても「怖い」と思うことはない。CBR1000RRやYZF-R1やGSX-R1000やZX-10Rに関しては、今までの歴史や蓄積や知識や自分自身の経験もあって、簡単に言ってしまえば情報が豊富にある。だからいきなり安心して乗れる。

「安心」=「知ってる」。つまり情報量の多さが安心につながる。情報が少なければ、不安になる。ごく当たり前のことだ。

S1000RRには何もない。BMWとしては初めてのスーパースポーツで、背景が何もないんだ。どういう素性のバイクかまったく分からない。情報が少なくて、不安だ。

そもそも、「攻めよう」とか「乗りこなそう」とか思うから、安心したくなるんだ。要するに、あっさりと命が懸かる領域に入るわけだから、少しでも安心材料がほしい。

CB1100とかVT750Sのようにテロッと走ってナンボのバイクなら、素性なんて気にならない。情報なんかなくたっていい。生命の危機を感じる以前の領域で、バイクの側が音を上げるからだ。

……この辺りの感覚は、かなり麻痺しちゃってる。実際は歩いてたって死んでしまう可能性がある世の中なんだ。CB1100だってVT750Sだって、十分すぎるほどヤバイ領域の中にいる。

でも、スーパースポーツの限界点はそれよりもさらに高い。恐ろしく高い。そこに近付こうとする行為は、命本来が持っている生存本能にめちゃくちゃ逆らうことなんだ。だから、何でもいいからちょっとでもいいから安心感がほしいんだ。

いやまぁ公道だから、何だかんだ言って恐ろしく高い限界点のほんの数%の領域の話で、ちょっと大げさすぎるかもしれない。でも、スーパースポーツを乗る時には、それがどんなに低速であっても、なんつーかこう、緊張感がある。戦闘機は、どんなにゆっくり飛んでても、戦闘機じゃん? だからオレはオレはスーパースポーツが好きなんだ。

そんなわけで、乗り始めの一瞬は相当に怖かったS1000RR。いくつかのコーナーを曲がってみるまでは、すんげーゾクゾクビクビクしていた。が、すぐに怖くなくなった。当たり前だ。BMWのブランドを背負ってマトモに作られた工業製品なのだ。

そうして、しばらく走らせているうちに、今度は「ん〜?」と思い始めた。

オレがS1000RRに乗ったのは5月だったろうか、その頃、すでに雑誌にはいろんなライダーによるいろんなインプレッションが載っていて、ザックリ言えば大好評だった。

しかし正直なところ、オレにはそれほどズバ抜けた何かがあるバイクとは思えなかった。サーキットを激攻めしたワケじゃないから、気付いていないのかもしれない。でもさ、すげー寂しい感じがしたんだ。

以前、インプレッサに乗ってBMWディーラー(4輪ね)に取材に行き、先方のご厚意で何車種か試乗させてもらったことがある。

もうね、まるで別モノだった。「ほわ〜、これがインプレッサと同じ4輪車なんですか?」「カッチョいいぜビーエム!」と思いましたね。なんつうのかな、走りの質感がまるで違っていて、「速ぇ」とか「遅ぇ」とかいう次元じゃなく、高品位な感じがたまらなかった。

帰り、インプレッサに乗って、思わず窓が全部閉まってるか確認しましたよ。あまりのノイズにどっか窓開いてるんじゃねーかと思って。「クッソー。いつかBMWが似合う男になってやりてぇ……けど一生インプレッサが似合ったまま死んでいくのもいいかな」と思いましたね。

ま、それだけじゃないんだけど、BMWって何かすげえ、みたいな印象は強くてですね。バイクにおいてもやっぱすげぇメーカーであってほしいな、と勝手に思っとったわけです。

過去に何台か乗ったBMW(のバイク)も、ベラボーにすげーと思ったわけではないけど、それなりに独自性があって、「うーんゲルマンやるぜ」みたいなガッシリドッシリズッシリした手応えはあった。実際の車重ではなくて、モノとしての手応えね。

そこへ来て雑誌で絶好評な、しかもオレの好きなスーパースポーツカテゴリーのS1000RRなワケで、そりゃあ何かこう、「オワアアァァァッ、何ダスかこりゃ〜」みたいな、「住む世界、違う〜」みたいな鮮烈な感覚を味わわせてほしかったんだ。

ところが、S1000RRはすっごくフツーだった。

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↑カッコはいいんだけどね……。

率直に言ってしまえば、サスの動きなんかは意外と安っちい感じで、もうちょっとしっとり動いてもいんじゃね? と思ったし、エンジンもイマドキのスーパースポーツならもうちょっと滑らかに回ってもいんじゃね? と思ったし、意外と振動が多くて手足がカユくね? と思ったし、国内仕様だから仕方ないけどもうちょいパワーあってもいんじゃね? と思ったし、ブレーキ効きすぎじゃね? と思った。

そうなんだ、4輪のBMWに乗った時のような高品位感がなく、どちらかと言えば安い印象が強かったのだ。

実際、BMWという圧倒的なブランド力があって、なおかつスーパースポーツというカテゴリーの割に、お値段は破格の安さ・169万円〜なので、多少のことは目ぇつぶってもいいような気がする。

でもでも、結局は169万円〜というサンバーが2台は買えそうな金額を支払うことになるので、それならもうちょっとなんかないの? とも思う。

さっきも書いたけどサーキットを激攻めしたワケじゃないから、いろいろくっついてる電子制御の恩恵を甘受するところまでは行かなかった。でも、ほとんどの人が公道を常識的に走るわけで、フツーに走りつつも「ヌオオッ、BMWさすがやないかい」と思わせてくれないとな〜。

と、思いつつ丸1日走り終わって、気付いてしまった。

まるで疲れてねぇ……。

なにこれ。なんで? ああ、気付かないウチにBMWマジックにかかっていたのね。コレがそうだったのね。すごい。すごいわBMW様……。

フツーっぽくて、違和感がまるでなく、疲れず、ヘタすると「つまんない」ぐらい思わせる優等生っぷり。外車のブランニューモデルとは思えないほどキッチリとしつけられていたS1000RR。国産スーパースポーツより明らかに疲れないこのバイク、やるぜBMW……。

でもオレは、1日乗り回したらヘロッヘロになって、「何だよこのバイクもう2度と乗らね」とか言いつつ、ちょっと経ったら「ま、でも、しょうがねえ。気合い入れて乗ってみっか」と思えるようなストイックさとか、「んだよめんどくせぇな。でも好き」みたいなクセがあるバイクの方がいいな、スーパースポーツなら。

いや、どうだろう。分かんないな〜。サーキットでは何だかんだ言って、優等生の方がいいような気もするし。

んー。そうだなぁ。公道ではストイックでクセのあるバイクでも笑ってられるけど、サーキットでは従順な優等生の方がいいな。ステージによって求めるものが違うってことだ。

1台でオールカバーなんて、あり得ない。人間だって、ひとりで全部、何もかもをこなすのはムリだもんね……。

【鈴鹿4耐情報】
参戦に向けての外堀が、着々と埋まりつつある。体制未定、マシン未定、ペアライダー未定の三大未定状態で、何をもって着々と言うのか我ながら意味不明だが、実際のところ着々感はかなりある。オレとしては、自転車トレーニングとストレッチと筋トレを毎日欠かさずってことはないけど、我ながら信じられないぐらい継続的に頑張っています。できることはできる。できないことはできない。だったら、できることをやれ。

これまでは本当にお遊びでやってきたランキング。「どーでもいいよ」と思いつつ、ネタとして楽しんできた。今も正直順位なんかどうでもいいと思っている。が、誠に自分勝手ながら、鈴鹿4耐参戦を応援してくれる人の数が具体的に見えるような気がして、大いなるタチショーベンじゃない、タチベーションじゃない、えーとモチベーションになっている。本当に。オレの健やかなタチベーションのために、愛のワンクリックを。にほんブログ村 バイクブログ バイク モータースポーツへ

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↑「つぶやき」って、やっぱ性格的に合わないみたい。

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コメント

マシンはHでしょう。 と言いたいところですがそれでは面白くないですよね。某編集部と同じだし。やっぱりTがネタ的にも良いんじゃ。タイヤはピーが良いみたい。
でも、その前にまずは鈴鹿を走ってみた方が……。いつでも手伝いに行きますよ、時間が合えば……。

投稿: ヤマシタ | 2010.08.25 15:09

>ヤマシタさん
ではさっそく9月9日、鈴鹿でお待ちしています。なんつって。でも、「手伝いますよ」と言っていただけるだけでも、すっげーうれしいです。

投稿: ごう | 2010.09.03 23:50

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