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VT750Sに乗った

VT750Sの公式ウェブサイトには、「あらゆるライダーを刺激する」と書いてある。

「あらゆるライダー」である。「あらゆる」。

オレもヘタクソとはいえライダーの端くれだ。世界最強最速の男、バレンティーノ・ロッシと同じ右足頸骨を骨折していることもある。これはもう、十分に「あらゆるライダー」に含まれていると言えよう。

ズバリ、刺激されました。……若干。刺激されながら、「……オレの考える『刺激』とは違うな」とも思った。

本当にオレは「あらゆるライダー」に含まれるのだろうか? 考察してみよう。

カッコいいな、考察。それっぽい。

VT750Sの刺激は、強烈な加速力とか、シャープなハンドリングとか、そういうパンチの効いた分かりやすいものではない。

羽衣でほっぺを撫でられるような、不二家の名菓・ペコちゃんのほっぺを口いっぱいにほおばったかのような、浜辺で穏やかな夕風をほっぺで受けるかのような……って、ほっぺほっぺうるせぇか。でもまあ、そういう感じのユルーい刺激なのだ。

でもさ、それだって確かに刺激っちゃあ刺激でしょう。羽衣で触られたりフワフワお菓子をほおばったりそよ風に吹かれたりして、何の刺激もないワケじゃない。しっかりしっとり感じるものがある。世の中には、段差の少ない刺激っつうものもあるのだ。

……そ、そうだったのか……。

「多くのライダーは、そういうゆるやかな刺激を求めている」と、今のホンダは考えていて、おそらくそれは正解なんだろう。VT750Sは、CB1100とオナ次戦、おっと悪くない誤変換だな、同じ線の上にいる。

軽くて、押し引きもラクチンで、シートも低くて、なーんにも文句はない。とにかくめんどくさい感じがなくて、身構えなくて済む。「プラッとバイクに乗ってみっか」なんつう、オレが今まで味わったことのない感覚が目覚めちゃいそうだ。

うーん、でもやっぱりオレは、バイクに乗るならガッチンガッチンにとんがった刺激の方が好きだ。めんどくさくて、身構えて、「よ、よ〜し、乗ってやらないでもないけど乗りたくないけど乗るしかないか」みたいな。

VT750Sの公式ウェブサイトには、「加速するほど、エンジンと胸の鼓動がシンクロしていく」と比較的刺激的なことが書かれている。「加速するほど」と言われたからにゃ、加速せざるを得まい。そこで、VT750Sもブンブンにブン回してみた。

……物足りない。

そりゃそうだよ。750ccで42psだぜ42ps。みんな大好きサンバーは660ccで48psだぜ。VT750Sはリッターあたり56ps。サンバーはリッターあたり72ps。すげぇサンバー! ビバサンバー! ビバンバー!! ビンバー!!!!!

あ、ねえねえ。あの料理って、ビビンバなの? ビビンパなの? それともピピンバ? ピピンパ? ピビンバ? ピピンピ?

ま、要するにVT750Sは、「加速するほど」という言葉ほど、アグレッシブ系エンジンじゃないってことだ。

しかし、オレもオトナだ。「いくら『加速するほど』と書いてあるからって、こういうキャラクターのバイクでバカみたいに飛ばすもんじゃないの!」という意見も分かる。

「そんなら」と、トコトコと走ってみる。うん、悪くない悪くない。トトトトッと走っていると、うーん、確かに伸び伸びとした気持ちよさがある。

よ〜く見直してみれば、「エンジンと胸の鼓動がシンクロしていく」と書いてある。胸の鼓動は、ドキ、ドキ、ドキ、1分間に70回ぐらいかな。そういう平常時の鼓動には、確かにシンクロしている。

トトトトトト……。
トトトト……。
トト……。

ふう。

トトト……。
ト……。

飽きちゃうよー……。

もういい。やっぱオトナになんかならない。「うおりゃーどりゃー」と、アクセルをガバ開けしてみる。ドドドドドドドド、アドレナリン炸裂の最大心拍数状態に、しかし、VT750Sのエンジンはシンクロしない。「まぁまぁ、落ち着いたらどうじゃ」「ささ、お茶でも一服」「ダンゴもあるでよ」と、バイクに諭されちまう。

やっぱりCB1100とオナ次戦の上にあるバイクだな。

操縦感覚は、かなり素直だ。見てくれが若干アメリカンっぽいので、「Uターンしようとするとガクッとハンドルが切れたりして怖いんじゃないの?」と緊張したが、全然そんなことはなく、妙なクセや不穏な動きは感じない。

エンジンが物足りなくても、ハンドリングが素直なら、下りのワインディングなんか結構楽しいんじゃね? とりゃー! ガリガリガリガガガガー。ちょびっと寝かすとあっという間にステップを擦る。ここでも、「まぁまぁ、そうカッカせずに」「ささ、ゆるりと風呂でもどうじゃ?」と、バイクに諭されちまう。

「うるせー! オレは行くぜオレは行くぜ!」と、バイクを無視してさらに寝かすと、擦っているステップを軸に吹っ飛びそうになったり、ちょっとした段差でフレームがヨレヨレしてスッ飛びそうになる。

そうやってさんざん大騒ぎした挙げ句、「……じいさん、ばあさん。オレ、間違ってたよ」と、すっかりおとなしくなって故郷に帰った。「オレ……、オレさ……」「いいんじゃよ、いつか気付いてくれると信じとった」「じいさん……」「ささ、赤飯が炊けたで、たーんと召し上がれ」「ば、ばあさん……」。ああ、涙涙の切ない夕餉なのだった。

ゆるく甘く、切ない刺激。どういう使い道があるのかなあ。

ホントにのんびりのんびりのーんびーりした気持ちで旅に出る、とか? ユモレスクを鼻歌に?

ムリムリ。

少しでも早く「その先の景色を見たい」なんて思いながら、ふとした瞬間に血が逆流したり目が三角になったりアドレナリンが噴き出たり心拍数が急上昇してるうちは、まだまだ洟垂れ小僧ってことか。

コピーの言う「あらゆるライダー」とは、そんな平和平穏太平安泰安穏無難柔和温暖な人格者のことだ。そういう人がVT750Sに乗るなら、確実にコピー通り、「加速するほど、エンジンと胸の鼓動がシンクロしていく」。

つまりVT750Sは、平和平穏太平安泰安穏無難柔和温暖な人格者かどうかの、試金石なのだ。

オレは、そうじゃなかった……。

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コメント

「ペコちゃんのほっぺ」にリンク貼るところに感銘を覚えました(笑)

深い。

実に深い。

そして、一見頑固に見えてツイッちゃうあたりがまた奥行きを感じさせる。

クリック仕方がないからしてあげる(笑)

投稿: ピエール | 2010.07.02 08:19

えぇっ?750ccで42馬力?!
VT250ですら43馬力ですけど・・・汗

どうやったらそんなに絞れるんだろう、そっちの方が凄い。
こういうのんびりしたバイクだと、おいしい物を食べたり景色をゆっくり見る気になるんだろうなぁ。

投稿: ジョン19 | 2010.07.02 18:32

例の料理名だが、在日の友達に聞くと教えてくれた。
「ピピンプ~」
地域によっては
「ケロンパ」
と言うそうで有る。

投稿: 吉田大佐 | 2010.07.02 21:38

>ピエールさん
ツイッター(笑)。割とあっさり宗旨変え。入院してる間に中段回し蹴りをお見舞いに行かないとな〜と思いつつ……。

投稿: ごう | 2010.07.03 12:52

>ジョン19さん
バイクに乗ってのんびりできるようなお年頃に早くなりたいです。

投稿: ごう | 2010.07.03 12:53

>吉田大佐
ってことは、地域によってキンキンもあり?

投稿: ごう | 2010.07.03 12:53

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