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みんな大好きサンバー!

外ロケ仕事なんかだと、サンバーで現地集合地点に馳せ参じ、そこからバイクに乗ることがある。

そんな時は、編集の人やカメラマンさんなど、いろんな方にサンバーを運転してもらう場合もある。

するってぇとアンタ、全員サンバーの虜である。これはもう確実に、全員(当社調べ)。

オレがバイクで前を走り、後ろからサンバーが着いてくる、という状況を想像してもらいたい。最初はみんな、「人様のクルマだし」「しかも軽(笑)」「軽のワンボックスなんて、できれば一生運転したくなかったな」「マニュアル怖」みたいな感じで、オズオズと走り始める。

しかし、オズオズはほんの一瞬である。バックミラーに映るサンバーが、徐々にペースアップしていくのが分かるのだ。コーナーでのロール度合いが増していく。「ブイン、ブイイイィィン!」(ブォン、ではない)というシフトダウンのエキゾーストノートが高まっていく。どんどん熱く激しい走りに様変わりしていくのだ。

オレはバイクを運転しながら、「ヒヒヒ、きたきた」とほくそ笑んでいる。

やがて、ターンインの切れ味がハンパではなくなってくる。旋回中の挙動も、まるで空を舞うツバメのようなクイックさ。立ち上がりのシャープな加速は、もはやF1の領域をはるかに超えている。ドライバーがノリノリでステアリングを握っているのが分かる。

オレのサンバーなのに……。

とは思わない。これっぽっちも思わない。まったく思わない。

だいぶ前、先々代ぐらいのサンバーに乗っていた時、T字路で一時停止を無視した乗用車が、横ッ腹に突っ込んできたことがある。こっちはスライドドアがちょこっと凹んだ程度。向こうはサンバーが脱落していた。違った。バンパーが脱落していた。

「ああっ、すいません…」と、平謝りに謝るオッサンに対し、オレは凹んだスライドドアを一瞥し、「ああ、いいっすよ、こんなの別に。お気を付けて」と言い残し、高原を吹き抜ける涼風のような爽やかさで、その場を去った。

鷹揚ではないか! 自分が大人物になったかのようで、とても気分がよかった。我が人生で2番目ぐらいにカッチョいい瞬間であった。

このように、サンバーを愛する者は、生きとし生けるものすべてを愛するのである。左の頬を打たれたら、右の頬を張り飛ばすのである。以前取材させてもらったカッチョいい不良牧師、アーサー・ホーランドさんの名言である。

だからオレも、「オレのサンバーで無茶すんなよなー」なんて、これっぽっちも思わない。バンバン乗り倒して、サンバーの魅力を髄まで味わってほしい。何ならホントに横転して、新車に買い換えてくれれば言うことはない。

横転。

それは常にサンバーライダーの脳裏にあるキーワードだ。ありとあらゆるコーナーで、サンバーライダーは横転のリスクを背負っている。それでも攻め込むのだ。攻めなきゃいいのに。どうせ直線で抜かれるんだから。

話はそれる。

我が人生最大級の楽しみは、首都高5号線上り戸田付近のロングストレートでオレを抜いて行った高級外車を、その後続くコーナー区間で抜き返すことである。そして、実際にそれは可能なのだ。横転のリスクさえ覚悟するならば……。

リム径たった12インチ、幅わずか145mmというクソ貧弱なタイヤのどこに、こんなポテンシャルが潜んでいるのだろうか。あなたの親指と人差し指を、思いっ切り開いてほしい。それがだいたい145mmだ。だいたい。たったこれだけの幅で、すっごく太くて黒光りしてうっとりしちゃうようなタイヤを履いた高級外車のインを突くのである。おかしい。おかしいよサンバー。すごすぎるよサンバー! ビバサンバー!

いやしかし、いくらなんでもすごすぎる。なぜクソ貧弱な細々タイヤの分際で、超弩級コーナリングスピードが可能なのだろうか。スバルはこっそりと、ものっすげぇ電子制御アクティブサスでも搭載してるんじゃねえの……? アヤシイ。

そこで調べてみた。サンバーのフロントサスはマクファーソンストラット式独立懸架、リヤサスはセミトレーリングアーム式独立懸架らしい。

やっぱり!

マクファー・孫・ストラット氏が考案した前輪用スペシャルアクティブサスと、セミトレー・リングアーム氏が考案した後輪用エクストラアクティブサスが、タイヤの潜在能力を引き出しまくっていたのだ。ありがとうマクファー・孫。ありがとうセミトレー。たこやきスナックの元祖「たこやき亭」を作っているのは、フリトレー。

サンバーに乗ると、みんな人が変わる。ハンドル切りまくり、アクセル踏みまくりで、生き生きしている。そしてサンバーを降りると、必ずみんなこう言うのだ。「いやぁ、いいね!」

当たり前ではないか。だってサンバーだよ? イチバーでもニバーでもない、サンバーだよ? いいに決まってんじゃん。

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元MotoGPライダーの中野真矢くんも、オレのサンバーのステアリングを握ったひとりだ。

彼は実際にマイ・サンバーを運転し、「いやぁ、ごうさんサンバーいいッスよ! ビックリしました」とビックリしちゃったのである。「ハンドリングもいいし、エンジンも意外とイケる! とにかく乗ってて楽しいッスね」と、ニコニコしていたのである。これは実話だ。

そして、「さっそくですがごうさん、このサンバー、僕のポケットマネーで、3000万円ぐらいで売ってくれませんか? ええ、もちろん即金で。今払っちまいますよ」と、現ナマ炸裂のアタッシェケースをパカッと開いたのである。これはウソだ。

とにかく。圧倒的なレース歴を持ち、世界を舞台に戦いまくった男が、サンバーに頷いたのだ。これ以上の説得力があろうか。

トランポとして、ただ「載せる」だけじゃない。「走る歓び」に満ちている。ザッツ・サンバー。ウィー・ラブ・サンバー!!

以下、サンバー青春グラフィティ。

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見るだけで幸福になれるシーン。だいぶ前に撮影したものだが、幸福度はむしろ高まっている。素敵な絵柄だ……。

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初めてF800Rに乗った時、「あ、記念に写真撮ってあげるよ」とカメラマンさんに言われ、まっしぐらにサンバーに向かったオレ。「普通バイクの方に行くんじゃね?」と言われるまで気付かなかった。だって大好きなんだもん。

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「どうせだからバイクと……」と気遣ってくれたカメラマンさんの静止を振り切り、「ぜひサンバーと撮ってくださいお願いします」と撮ってもらった記念すべき1枚。横転のリスクが高いサンバーなら、これぐらいの装備で乗ってもいいのかもしれない。

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あまりにも美しく、はかなく、切ない光景に胸を打たれ、思わずシャッターを切った。世の中に完璧な美があるとしたら、それはサンバー。

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バイク業界で知らない人はいないライターの大屋雄一さん。年齢こそオレよりちょびっと若いが、オレなどがこうして2ショットを撮っていただくのは申し訳ないほどの大先輩である。しかし、サンバー愛は立場すら超える。上下関係を超越した笑顔に注目してほしい。

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大排気量化が著しいバイク業界にビービビビーと警鐘を鳴らしまくるサンバー。この写真のXVS950Aが積めるかどうかは確認しなかったが、少なくともサンバーは660ccでも1000ccのスーパースポーツが積める。XV950Aは942ccあるが、1000ccのスーパースポーツは積めない。どっちの勝ちかは一目瞭然である。

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サンバーの長大な荷室の後方にかすかに見える目玉ヘルメット。中野真矢その人である。彼の得意分野である、バイクに乗っている。しかし、サンバーが前。どっちの勝ちかは一目瞭然である!

Sambar
見よ、この雄々しくも悠然とした偉大なる姿を。これがスバル・サンバーの名の由来となった、SAMBARである。サンバーは、哺乳綱偶蹄目シカ科シカ属に分類されるシカの一種だ。中国南部とか台湾とかインドとかインドネシアとか、とにかく暑めの場所に住んでいる(ここまではホント)。心肺機能は完全に走ることに特化した構造で、走るのをやめると即酸欠状態に陥って死んでしまうことから、「陸上のマグロ」と呼ばれる。記録に残っている最高速度は140km/hで、シカ最速。並走したジープで計測したものだが、運転していたイギリスの冒険家、ジャック・フィッシャーは、「サンバーの走りはあまりに伸びやかで、美しい。私は、生命が紡ぐ芸術と対面したのだ」と述べた。140km/h以上は危険なため、速度抑制装置が働く仕組みだ。基本的には草食性だが、慎ましやかにレギュラーガソリンを飲む姿も観察されている。にほんブログ村 バイクブログ バイク モータースポーツへ←このボタンをクリックすると、さらなるサンバーの情報が得られる確証はない。ないけど、いいじゃんクリックしてみたってさ。

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コメント

はじめまして。
いつもコッソリ拝見させてもらってます。
前々からサンバーを狙っているのですが、1200GS増車して
積載可能か不安な毎日を過ごしておりますorz

* なお、積載出来るか教えて~って事ではありませんのであしからず

PS
例の雑誌の記事も楽しく読ませてもらいました(´∀`)ノシ

投稿: ЯR | 2010.05.30 19:42

あれっ? 950しーしーじゃなくて、1900しーゆーじゃない? もっとでかい奴・・・

投稿: にゃん | 2010.05.30 20:31

ボクも大好きサンバーup
レブリミット寸前の数百回転のクィーンとむせび泣く管楽器のような排気音は排気の取り回しの短いリアエンジンならではのエキゾーストノート。マジに最高です。

投稿: かたつむり | 2010.05.31 00:39

初めまして、昨年9月に最後のサンバー新車を購入しました。購入前にはこっそり貴殿のblogを拝見しておりまして、大変参考になりました。今さらながらお礼申し上げます。

さて、今回の記事、すばらしいサンバー絶賛で、嬉しい限りです。うんうんと頷きながら、最後まで一気に読ませていただきました。

これからも楽しみに拝見させていただきますのでよろしくお願いします。(因みに自分も「ふぁいなるサンバー」なんていう稚拙なblogを開設しております。サンバーを盛り上げたい気持ちは貴殿と同じ、だと思っています。)

投稿: nekoGT | 2010.06.08 00:34

>ЯRさん
バイク誌の編集部はたいていハイエーススーパーロングハイルーフワイドボディみたいな、何でもぜってぇ積める的なトランポを使ってます。積めて当たり前。感動ナシ。それに比べてサンバーは、「積めるかな、積めないかな、どうかな、アッ、アアアッ、積めた積めちゃった積ーめちゃったー」という喜びに満ちあふれています。積めないバイクも多数あるはずですが、成功事例しか聞いたことがないのは、喜びの大きさの証でしょう。例の雑誌って何だか分かんないけど、ありがとうございます!

投稿: ごう | 2010.06.08 20:56

>にゃん師
あーっ、ホントだXV1900CUだった! 画像直すのめんどくさいからそのままでいいや。しかし1900ccって。サンバーの排気量の2.878787倍ですよ。すげぇなあバイクも。

投稿: ごう | 2010.06.08 20:58

>かたつむりさん
そうですね、今度はフェラーリ並みの官能的なエキゾーストノートをブッ放すエンジンについて書かねばなるまいですねup

投稿: ごう | 2010.06.08 21:00

>neko男爵さんじゃなくて、 nekoGTさん
欲しい、欲しすぎです最後のサンバー! いいなぁ、しかもスーパーチャージャー・4WD・5MTって、最強サンバーじゃないですか。もう強すぎて想像つきません! できれば3台買って、1台は実際に使用、1台は観賞用、1台は何となく保管用にしたいぐらいです。3台買っても360万円ぐらいですから、まぁちょっとした車を1台分ですしね。

投稿: ごう | 2010.06.08 21:07

我が家にも1匹白い毛並みのサンバーがいますが、ごうさんのおっしゃる通り、人類が生み出した最高の乗物の一つですね。
そういえば余談ですが
グーグルの検索で
「サンバー レギュラーガソリン」
と入力したところ、予測検索候補に
「サンバー レギュラーガソリン 飲む」
と表示され、検索結果のトップにこのページが出てきて思わず吹いてしまいました
これは、サンバー(富士重工謹製)の偉大さや神々しさに、あのグーグル先生すら平伏していると理解してよろしいのでしょうか?

投稿: スーパーカー自転車野郎 | 2014.10.09 21:58

>スーパーカー自転車野郎さん
サンバーを「1匹」だなんて! オレはサンバーを「1サンバー、2サンバー」と数えます。そして「3サンバー」。サンサンサンサンサンサンバー。ウソです。普通に1台、2台、3バーです。

ホントだ! 「サンバー レギュラーガソリン」→「サンバー レギュラーガソリン 飲む」→このページですね! 4年前のこのページにどうやって到達したかと思いきや、グーグル先生の差し金でしたか! そして改めて自分で読み直してみて、ま…………ったく覚えていないという……。何書いてんだオレは……。

投稿: ごう | 2014.10.10 07:35

サンバー検索して来ました 🤗 自分もトランポ5MTからブルーマイカATと乗り継ぎしてる者です ATの方がエンジン音少々うるさい感じがします が 軽バンなのに乗り心地がいいし 荷室は広いし 後席もゆったりやし ええ機体ですよね どなたかのブログに書いてた言葉だったとおもいますが「世の中にある車は2種類だけだ!サンバーとそれ以外だ!」

投稿: へろし | 2016.01.03 21:41

>へろしさん
ブブブブブルーマイカってもももしかして富士重製の最終型のスペシャルエクストラカラー、WRブルーのことですか!? す、すげぇ……。うらやましすぎますが、WRブルーのサンバーなんて、もったいなくて乗れないかもしれないな……。へろしさん、やるなぁ!

それにしても、「サンバーとそれ以外」とは、そのブログ主の方も思い切りましたね(笑)。オレとしてはそんな大それたことを言う勇気はなく、クルマワールドの隅っこの方でひっそりと「サンバーいいよね……」と囁いていたい気分です。あまり声高にサンバーの良さを謳うと、中古車の値段上がっちゃうし。このブログでもさんざんサンバーを称賛してますけど、ここは場末のインターネッツなので。

投稿: ごう | 2016.01.04 15:06

へいー ブブブブルーマイカ最終型ですー もう3箇所ぶつけて擦ってじゃんけんぽん!です 泣 大阪ですがまだ同型機とすれ違って無いですわ(富士重工製なので、車 じゃなくて 機 を使ってます) 黄色いナンバープレートとコントラストが良く合ってます 懐ろが許せば もう一台白のバン 、 後席が一体物のベンチシートの奴が欲しいですね〜 BRZも 汗 しかし 乗れば乗るほど 良い車 何故に販売終了に? 怒 まさに 世の中にある車は2種類だけだ、、うんぬんです

投稿: ヘロシ | 2016.01.04 18:12

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