« 【大作完成】関越3耐レポート【8000文字】 | トップページ | 「本庄サーキットを走った」が記事になった »

本庄サーキットを走った

Nobuatsu Aoki Riding School、略してNARSである。

ナース。ああ、昨年右スネ骨折により入院するまでは、ナースという言葉の響きに若干のエロスを感じないではなかった。しかし浣腸されウンコ見られ導尿カテーテルぶち込まれぶち抜かれチンコの先っぽにカサブタ付着に及んで、ナース=エロスというより、ナース=医療従事者という、ごく当然の見方ができるようになった。

こうして現実を知るたびに、男はエロスロマンを捨て、一段ずつ大人の階段を昇っていくのであるなあ……。

そんなことよりNARSである。ノブアツアオキ乗車教室である。

開催日は12月15日。実はこのあたり、猛烈に〆切が重なっており、オレいったいどうなっちゃうの? 鳩並みの脳しかないのに、どうやってこの日程でこの分量の仕事こなすの? といった涙目のタイミングであった。

ノブ兄からは、ちょっと前から「来いよな〜!」と言われていたのだが、15日が接近してくるにつれ、これはマジで死んでしまう日程であることが明白になってきた。ヤングマシンがズリズリとヒザを擦りながら押し寄せてきたところに、RACERSがYZR500のエキゾーストノート的な軽やかさで覆いかぶさり、さらにBikeJinが温泉とグルメとロングツーリングで攻めてきて、そこへRIDERS CLUBが開けて曲がって閉じて曲がりながらマン島TTレース的に畳みかけてきたワケである。

こいつぁやべぇ。いくらなんでも無理だ。

13日、日曜日。独裁者・青木宣篤氏に恐る恐る電話してみた。

「あのさー、そのー、15日なんだけどさー」
「ああ、来るよね? 当然」
「はいもちろん。ち、違った。実はかなり立て込んじゃってて……」
「はぁ? 何言っちゃってんの?」
「だよねー」
「今回のテーマ知ってる? フロントの接地感だよ?」
「そうなんだー(グラグラ←心が傾いてる音)。でもさ、15日に1日空けちゃうと、仕事としてはかなり」
「今回はさ、治親周平も来るんだよ」
「マジで?(グラグラグラグラ)行きてぇ! 行きてぇよそりゃ。でも、15日ってタイミングが悪すぎでさー。あ、そうだ! オレ今、サーキット走れるようなマイバイク持ってないし」
「細かいこと気にすんなっての。貸すよ。何乗ってもいいから」
「マジで?(グラグラグラグラグラグラグラグラ)」
「マジで。ね? 分かってる? オレがこんだけ言ってんだよ? 来ないワケないよね」(本当にこう言った)
「ごう、行きまーす!」

行かざるを得ないではないか。相手は世界のノブアツである。しつこいようだが、世界GP500ccクラスでランキング3位、そして鈴鹿8耐でも勝っちゃってる男である。例え有無を言わさぬ強引な独裁者っぷりを発揮しようと、誰が文句を言えようか。いいや、言えまい。

しかも世界GP125ccクラス2年連続チャンピオンに輝いた青木治親、さらには全日本でチャンピオンを獲得して世界GP250ccやスーパーバイク世界選手権で活躍した青山周平が来るとなると、誰が参加を拒めようか。いいや、拒めまい。

というわけで、関係者各位に多大なご迷惑をおかけしながら、いやこれがホントにご迷惑をおかけして申し訳なかったのだが、15日は朝からポルトガル・ホンジョウ州の本庄サーキットへと向かった。

初めて行くサーキットである。若干道に迷いながら到着したその瞬間に「はいツナギに着替えて!」とノブさんに言われる。「言われる」とかいう生易しいトーンではない。命令である。「あ、はい……」とあわててツナギに着替える。「着替え終わりまし……」「はいコレ乗って!」と、ハヤブサ・ノブアツ号を指さされる。

09122501
↑すげぇ近くで怒鳴られる。ウソ。ホントは優しい。と、軽快にフォロー。

そしてブーンとコースインである。何がなんだか分からない。コースの右も左も分からない。ただひとつ分かっているのは、路面とタイヤがパッキパキに冷え切っていることである。怖ええぇぇぇ。

ノブ兄先導で3周ほどゆっくり走るのだが、久々に乗るハヤブサが妙にデカく重く感じるじゃないの! そのうえ、倒し込みではズシーンとなかなか寝てくれず、寝始めるといきなりバターンと倒れ込み、倒れ込むと同時にパコーンと急激に舵角がついて(つまり激しく切れ込んで)、その勢いでピョコタンと起き上がるので、進入も立ち上がりもなんかこうしっくりこない。

ハヤブサって、すごく乗りやすい印象だったんだけど、こんなに手強かったかなあ……。走り終わってからノブ兄にそんなことを言ってみる。

「あのねあのね、ズシーンパターンパコーンピョコタンなんだよね」
「?」
「要するに切れ込みが激しくて、すげぇ怖いんだ」
「ああ、ハヤブサはキャスターを寝かせ気味だから、ちょっとアメリカンみたいなハンドリングなんだよ」
「そうなんだ。でも怖くてさー。どうしたらいいの?」
「切れ込んで来たら、ガーッとハンドルを押さえる! あとは根性根性。いいから走れ走れ! わっはっは」
「……。ガーッ、ね……」

世界のノブアツがそう言うなら……。オレは一生懸命にガーッと頑張った。だんだん慣れてきた気もする。レッスンプログラムの「前輪の空気圧を下げてみよう」「フロントサスのテンションをかけてみよう」をやってみたところ、少し乗りやすくなった気もする。

フリー走行でも「おんどれー! ハヤブサに負けてられっか! こちとら鷲じゃ! 入間の鷲なんじゃ!!(埼玉県入間市上空では、時折本当に鷲が舞っている)」と気合いを入れた。

しかし、ちっともうまく走れない。思うように寝かせられないし、寝たと思うと起きあがっちゃうし、コーナー出口ではダーッとアウトにはらんじゃうし、なんかチグハグだ。まぁ、スクリーンに「NOBU」とか貼ってあるのを見て、「ゲ、そういえばこのハヤブサってば、ノブバイクだってばよ! ぜってぇ転ばせるワケにはいかねーってばよ!!」と、腕に力が入っているのかもしれない。

ピットに戻ってタイヤに触り温度を確かめると、リヤに比べてフロントの方が発熱している。たいていリヤの方が熱くなるものだから、「うーん、相当フロントをこじって走ってるなー。そんなに腕に力入ってるかな。それとも乗り方おかしくなっちゃったかな」と、自分なりに悩み苦しみ戸惑い畏れ嘆き悲しみ怒り笑い泣きしていた。

09122502
↑すんげぇ寒ぃよねー。ひゃー寒い。うー寒い。など、実に有益な情報を語り合う。

そして、西日が直撃し始めた頃。

さすがにハヤブサとの、そして自分との格闘にも疲れてきた。デモ車両として持ち込まれていた、GSX-R1000(L0・2010年モデル)が燦然と輝いて見える。独裁者ノブアツに恐る恐る「乗ってもいい?」と聞こうと思った瞬間に、「いいよ! 乗んなよ!」と言ってもらえた。さすが本当はとても優しく沖縄の自然とヤドカリを愛でる独裁者だけのことはある。

そしてコースイン! うっひょおおおおぉぉぉ! 走りやすいぜ、GSX-R1000! 超イイ! すげぇいい! 走りやすいぜ! ガリガリとヒザ擦れるぜ!!(ハヤブサでは、路面にかする程度だった) 来季ワールドスーパーバイクからオファーが来てもおかしくない勢いで爆走し(個人的イメージ)、ピットに戻ると、そこには何か言いたげな青木宣篤&治親、そして青山周平の3氏が。ナニナニナニ?

「ごうさんさー、このハヤブサ乗って、どうだった?」
「あ、さっきまでオレが乗ってたハヤブサ? え? ナニナニ? ナニを答えればいいの?」
「いや別に何てことはないんだけど。インプレが聞きたいんスよ、インプレが」
「ええーッ! 世界のお三方が、入間のオレにナニを聞きたいの?」
「いいからいいから。どーだったの!?」
「いやッ、あのッ、そのッ、最初は乗りにくいなーと思ったけど、ノブさんが『ハヤブサはこういうバイクだよ』って言うから、そっかーって。『世界のノブアツがそう言うなら、コレで頑張らなくちゃ』って。ナニナニナニ?」

091225034
↑こんなメンツに囲まれてしどろもどろになっているうちに、事情が分かってきた。

オレがGSX-R1000に乗っている間に、治親が先導走行のためハヤブサ・ノブアツ号に乗車。3周してピットに戻り、「周平、コレ乗ってみ?」とだけ言い、バトンタッチ。

青山周平、1周だけでピットイン。

2人で顔を見合わせて、
「このバイク、何かおかしいよ!!!!!!」
「ヤバイよコレ!!!」
「どっか壊れてますよ絶対!」
「おにい、乗ってみコレ!!!!」

そして青木宣篤登場。
「キミたち、オレ様のバイクに限って、そんなはずはなかろう。どれどれ……」

ピットアウトしたノブ兄、1周せずにピットイン。

「こ、怖くて乗れねぇ!!!!!!」
「でしょー!? 乗れたもんじゃないよね!?!?」
「ごうちゃんは、コレで1日転ばずに走ってたのか!!」
「すげぇ!!!」
「あのヒト、すげぇかも!!!!」

と、大騒ぎになっていたそうなのだ。

ハル&シューヘイと話したところ、最初にオレがノブ兄に伝えた印象とほぼ同じだった。それを世界の3人は「コレは乗れない!」「コレは壊れてる!」と瞬時に断定。一方のオレは「そっかー、ノブ兄が『ハヤブサはそういうバイクだよ』って言ってたから、こういうもんかー」と、1日頑張っていた、というワケなのだ。

091216
↑「いやホントにあの状態で1日走ってたなんて、信じられない!!」「おみそれしました〜!」と、入間のごうに感服つかまつる、世界の3人。

09122505
↑空気圧の重要性について、熱く、くどく語るも、説得力ゼロ。

結局その場では解明する時間がなく、何が不調の原因か分からなかった。

そして数日後、ノブさんから電話が。

「どーもすいませんでしたっ!」(「響」の長友風に)
「えっ、ナニナニ? 原稿は何とか間に合わせたから大丈夫だよ?」
「いや実は、スクールの時に使ってたエアゲージが壊れてて。ごうさんが乗った時、ハヤブサの前輪の空気圧、1.4しか入ってなかった」
「!!!!!!」

奇妙なハンドリング。異常な発熱。全部説明がつく。まさか世界のノブアツのエアゲージが壊れていたとは……。弘法も筆の誤り、ノブアツもエアゲージの誤りである。

しかし機械モノはいつだって壊れる可能性がある。それは仕方ない。そんなことより問題は、異常に低い空気圧に気付くことなく、1日走り続けたオレのすさまじいまでの鈍感さ、およびバイク理解度の低さであろう。

09122503
↑いくらなんでも1.4って。ノブハルシューヘイの3人にしてみれば、ほんのわずかな周回で、いや、最初のコーナーを曲がった瞬間に、「ぐぎゃあ! コレは乗ってられん! なんかおかしい! ぜってぇおかしい!」と断定し、マシンを降りてしまうほどの状態なワケである。それを、「そっかー。こういうもんかー」と、オレは1日中ブンブンと乗ってしまっていたのだ。

恐ろしい。

3人に聞いたインプレをまとめると、オレが感じていた挙動そのものは、合っている。的確に、ヴィヴィッドに、シャープに、異常を感じ取ってはいたのだ。ただ残念なことに、それが正常なのか異常なのか、正しいのか間違えているのかが、判断できなかったのである。そこへきて独裁者ノブアツの悪魔の囁きである。

こういうもんだよ。
こういうもんだよ。
こういうもんだよ。
おくちくちゅくちゅもんだみんだよ。
みのもんだよ。
もんだよ。
もんだ。
もんだ&ブラザーズ……。

負けた……。世界を知る男が放つ圧倒的な説得力の前に、完全にダンシングオールナイト……。そう、ハル&シューヘイのように「これはおかしい!」と言い切れなかった……。言い切れなかったし、そこまでおかしいとも思わなかった……。

情けない。

しかしいいのだ。スクールそのものは、非常に楽しく、有意義だったから。スクールそのもののマジメなレポートは、1月末あたりに発売されるRIDERS CLUB誌に掲載されると思われるので、ここでは自らの恥をさらすに留めておこう。

次回、来年のいつか開催されるであろうNobuatsu Aoki Rinding School、NARS。オレは自分のエアゲージを持って、参加できたらと思う。

……いや、持ってたんだよなー、エアゲージ。我が最愛最強最高最大最小のトランポ・サンバーには常備してあるからなー。でもさー、まさかノブさんのエアゲージが壊れてるなんて、夢にも思わねぇよ。あー悔しいなぁチクショー。ただ恥かいただけじゃんかよなー。「テストライダーにはなれないね!」なんて言われちゃったしよー。

なれないよ、ええなれませんとも。なれてりゃとっくになってるよ! ライターじゃなくてライダーやってるよ。どうせ足りないよ。「点々」が。濁点が。あー、でもいいんだ。ギリギリ紙一重だったかもしれないけど1日無事に終えたんだしさ。エア1.4でもだましだまし走れることが分かったし(分かんなくていいけど)。「こんなの乗れね!」とか言って降りちゃってたら、1日丸損だったし(……どうかな?)。いいのいいの。結果オーラーイなの。オーラーイだって。オーライだよ。

はい、もうお分かりですね。ひとり1.4クリック!にほんブログ村 バイクブログ バイク モータースポーツへ

Photo by Ken-Ken

|

« 【大作完成】関越3耐レポート【8000文字】 | トップページ | 「本庄サーキットを走った」が記事になった »

コメント

今日バイクの修理が終わり引き取りに行ってきました〜(^^ゞ

そこで言われたのが、タイヤの空気圧が前後とも1.5しか入っていませんでしたよ〜だって^_^; 自分もスペシャルエアゲージを使った一人で御座います。

初心者としては、ただやけにバイクが重たいと言う印象しかありませんでしたが、今回転倒したのはスペシャルエアゲージの責任にし、全てを忘れ来年に繋いで行こうと思います。実はづっと何で転んじゃったのだろう?と考えていたので、これでスッキリしました〜(^^ゞ

ホントの原因は違うかも知れないけど、いぃんだ、いぃんだ〜がっはっはっはっ〜〜〜!!!

投稿: ナイト | 2009.12.26 08:12

こんなスンバラシイ講師陣が、ご近所(本庄)に集結してらっしゃったとは…!有休とって行くべきでした。。。
空気圧って、1.4でも走れるものなんですねimpact
冷たい路面×他人のバイク×1.4 でコケないGOさん、流石です。

投稿: にしこ | 2009.12.26 23:31

>ナイトさん
転倒は自分以外の何かのせいにしちゃダメーッ! 転倒にはいろんな理由がありますけど、最終的には全部自分のせいだと思わないと、せっかくの転倒(つうのも変ですが)がムダになっちゃう気がして。もし今回オレが転倒してたとしても、空気圧の低さに気が付かなかった自分や、空気圧の低いバイクをうまく走らせられなかった自分のせいだと思……わなくちゃな、と。これがまた、なかなか難しいんですけどね……。

>にしこさん
マジですんばらしかったですよ! すんばらしく寒くて、すんばらしく路面温度が低かったけど、講師陣は本当にみんなすんばらしかったです。来れば筑波のタイムも10秒アップは確実だったのにな〜。惜しかったな〜。

投稿: ごう | 2009.12.29 18:50

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/91489/47116671

この記事へのトラックバック一覧です: 本庄サーキットを走った:

« 【大作完成】関越3耐レポート【8000文字】 | トップページ | 「本庄サーキットを走った」が記事になった »