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筑波1分3秒台への軌跡

筑波サーキットで1分3秒台を出す。それはオレにとって、どうしても叶えたい目標だった。

諦めまくりの3秒台

人に「3秒台出せよ」と言われたわけじゃないし、叶えたからと言って何かがあるわけでもない。ただ自分で定めた目標、というだけの話だ。でも、それだけに何としてでも叶えたかった。

ハッキリ言って、今回は無理だろうと諦めていた。レース前に集中的に練習しようとできるだけ筑波サーキットに通ったが、なかなかタイムが出せない。

・6月18日 1分5秒0(3ヶ月ぶりのサーキット走行)
・6月20日 1分4秒4(ECU&Fサスセッティング変更)
・7月2日 1分8秒1(ファイナル変更。最終コーナーの新攻略法を模索)
・7月4日 1分4秒6(Fサスセッティング変更)

レース直前、7月4日の練習で4秒6しか出なかったのは致命的だった。しかも2本走行したうちの1本目がベスト。セッティングを変えて臨んだ2本目は、フィーリングこそ非常に良かったけれど、5秒0しか出ていなかったのだ。

「今回も3秒台は出せねぇな…」

何しろ、どんな世界なのか、どんな景色なのか、何が起こるのかも分からない未踏の地だ。そこまであと1秒以上あるとは…。わずかしか時間がない予選と決勝で自分に何ができるのか、何をしたらそこに到達できるのかがまったく見えない。

しかし決勝日前に、「世界のハガノリ」こと芳賀紀行選手と話しをする機会があり、セッティングについて聞いてみたところ、今の方向性で合っているようだった。これはちょっと自信になった。

ネガティブスパイラル

が、しかし。前戦でも5秒台しか出ていないし、練習では4秒ちょいぐらいしか出ていない。しかも最終コーナーでスッ転んだ…じゃなくて新攻略法を編み出したりして、こりゃもう3秒台は次戦以降に持ち越しだな…。つうかオレ永遠に3秒台は出せねぇな…。胸をよぎるのは、そんなマイナスイメージばかりだった。

7月5日、レース当日を迎えた。今回もたくさんの人たちが応援に来てくれたり、声をかけてくれたり、サポートしてくれた。本当に恵まれていると思う。オレとしては全力で走ることぐらいでしか恩返しできないし、もちろんそのつもりでいたが、胸の内では「うーむ皆さん今回もダメかもしれないですごめんなさい」と全力で謝っていた。

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↑全力で謝りながら靴下を履き替える。

予選は1分4秒229。「やっぱり…」と思った。今乗っているZX-6R(07モデル)としては自己ベストだが、以前乗っていたZX-6R(05モデル)のベスト・1分4秒008に届いていない。予選ではいかにクリアラップを作るかが大事なのに、前のバイクを追い回すことに熱中してしまった。

でもいいんだ。オレの場合、テンションを上げるのに時間がかかるタイプなので、「予選はこれでいいや」と思っていた。それと同時に、「あれで4秒2! その先は見えねぇや。決勝で3秒台はやっぱり難しいな」と完全に諦めモードだった。

それぐらい、オレにとって3秒台は遠いのだ。リアルレーシングな人々からしてみれば、「3秒台ぐらいでとやかく言ってんじゃねぇよ!」というタイムだということはよーく分かってる。マジで。でも、35歳からサーキットを走り始めて、自分の才能のなさをイヤというほど思い知らされているオレにとっては、本当に遠く、高い壁なのだ。

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↑予選終了後。笑ってはいても、心の中は「やっぱダメだオレはダメなんだダメ人間なんだオレはよう!」と大泣き。

頑張るしかない

レースに出ることさえおこがましいのにノコノコとエントリーしているのは、ライバルに競り勝つためでも、表彰台に立つためでもない。目標としている3秒台を出すためには、どうしても練習走行とは違うテンションの、「頑張れるステージ」が必要だからだ。レースはオレにとっての加速装置みたいなものだ。

バイクでサーキットを走っていると、いつの間にか同じことばかり繰り返してちっとも進歩していない自分に気付く時がある。慣れた世界の方が居心地がいいからだ。

オレにとって、今は1分4秒台がそうだ。怖い思いもせず、スピード感も楽しめる領域は、ぬるま湯的で居心地がいい。でも、それで満足かと言われれば、そうじゃない。ずっとこの場所でいいと思っているわけじゃない。もっと先の世界が見てみたい。

先に行くには、頑張るしかないのだ。ちょっと前に伊藤真一さんに取材した時、「オレだって、『うわ、ココでこんなに寝かしてもいいのかな』とか『ここからアクセル開けるのは気持ち悪ぃな』とかいう思いと戦いながら、ちょっとずつトライしてるんですよ」と言っていた。

「マジですか!?」と、オレは全日本チャンピオンに聞き返した。「レベルは違いすぎるけどあえて言わせてもらうと、同じじゃないですかオレと!」。そう言うと、伊藤さんは「おんなじですよ、おんなじ」と、ゆったり葉巻をくゆらせた。いや葉巻はあり得ないけど、言ったことは本当だ。

先日の8耐事前テストで、伊藤さんはトップタイムをマークした。きっと「もうちょっと深く」と今まで以上にバイクを寝かせて、「もうちょっと早く」と今までと違うポイントでアクセルを開けたのだろう。あるいは、そうできるセッティングのバイクを得たのだと思う。

だからオレも、と言うのはあまりにもおこがましい。でも、オレなりに頑張るしか先への道はないことは、確かに同じなのかもしれない。

ただ、これは今だから思えることで、決勝前はそんなポジティブな発想にはならなかった。とりあえず目先のこと──直近ではスタートを決めることだけを考えていた。

決勝中の「クリアなラップ」

今まで、スタートがうまく行った試しがない。予選がよくてもスタートで後退、というのがパターン化している。特に前戦は、スタート練習ができる特別スポーツ走行に参加できなかったので、それがずっと悔やまれていた。

そこで今回はちゃんと前日の特スポに参加し、4回のスタート練習をした。ちなみにこの特スポにも、プロカメラマンだかプロメカニックだか境界線があいまいになってきたヒデヨシが手伝いに来てくれた。クソ暑い中汗をボタボタ落としながらメカ作業に従事し、オレの走りも丹念にチェックしてくれるヒデヨシ。スタート練習も、「3回目が素晴らしくよかったよ」と、ちゃんと見てくれていた。

そのイメージで行こう、と決めていた。サイティングラップのうちからテンションを高めて、「オレはスタートを決める!」と今まで以上に強く思った。

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↑で、まずまずうまく行った。残念ながらレース当日は来てもらえなかったヒデヨシにも、顔向けできる程度のスタートは切れたと思う。

オープニングラップの序盤は、5番手を走行。予選のトップ4は3秒台だったから、このまま行けば4秒台集団のトップは押さえられるかもしれない。

と思っていたが、最初のうちは完全にインガバ開けのユルユルラインを取ってしまった。スタートが決まって、「タイムを出さないと」と、ヘンにラインを意識しすぎていたのだ。ズバズバとインを突かれてから、「あ、やべぇレースだった」と思い出す始末だった。

数台に先を越され、ショボいミスを繰り返して引き離されつつある。表彰台が逃げていく。でも、不思議なことに「何してんだオレは…!」とは思わなかった。逆に前が開けているわけで、しかも全力を尽くした結果スッ転んでも、まずまず許される(のかなぁ)レースという場だ。行くしかねぇじゃん!

で、頑張った。自分なりに。「もういい!」「もういいから!」(←何が「いい」のかよく分からない)「今行かねーでいつ行くよ!」と、フンヌと歯を食いしばった。そうして頑張ったラップは、やけにクリアだった。しっかりと見えて、しっかりと感じている。不安はなく、怖さもない。ただ、今までとは景色が違っていた。

うれしい1分3秒台

そういうラップの後に、終盤はまたもくだらないミスを連発して、結局8番手でチェッカーを受けた。上位2名が章典外だったため、正式リザルトは6位だが、8位でも6位でも大差ない。前戦よりポジションを落としたことは確実だ。でも、自分としては妙に充実感がある…。クールダウンラップを終えてピットロードに戻ると、総監督ケンケンがハイタッチをしてくれた。

「ああ、ショボいリザルトでも、喜んでくれるならいいか…」

そう思っていると、バイクを受け取ってくれたたけちうも喜んでいる。人に厳しく自分に甘いたけちうが、なぜ…!? と訝しがっていたら、「入りましたね、3秒台!」

うおっ、マジで!? マージーでー? 何度も聞き返した。

あのラップだ! 間違いない。あのラップで3秒台に入ってたんだ。いやもう、うれしくてうれしくて、ケンケンに抱きつき、周りにいたみんなに握手してまわり、ひたすらうれしくてうれしくて、生きとし生けるものすべてにオレの喜びを伝えたかった。

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↑マジでうれしい!

手元計測では3秒台が2周あったようだ。間違いなく、フンヌと歯を食いしばったあの時だ。自分で定めた目標を、自分で「ここだ!」と狙ったラップで、自分なりにきっちりとクリアできた達成感と喜びは、もう他にないぐらい大きかった。

その先の世界へ

正式リザルトによると、タイムは1分3秒839。基準タイムである1分4秒0を切ったので、これをもって草レース世界選手権シリーズ「筑波ツーリスト・トロフィー」NMクラスは卒業である。

サポートしてくれたTEAM horohhoのみんな、応援に駆けつけてくれた皆さん、声をかけてくれた皆さん、遠方から念じてくれていた皆さん、いろいろとアドバイスをくれたり支援してくださった皆さん、そしてこのブログを読んで少しでも気にかけてくれた皆さん。1人だけで走っていたら、オレは頑張ることができなかったと思う。皆さんの存在があったから、「フンヌ!」と歯を食いしばれた。本当にそうなんだ。心から、ありがとうございます。

何人かの方に「表彰台に立たずに卒業は、残念ですね!」と言われたが、まったくそう思わなかった。オレにはオレの目標があって、それをクリアできた。それだけで、もう大満足だった。

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↑本当に満足!

だからオレは、リアルレーサーではないのだ。「何が何でも表彰台」とか「ぜってぇ勝つ!」とまで、自分を追い込めない甘さがある。自分に許される範囲内でジクジクと進歩して、自分で設定した目標を(できれば)痛い思い・怖い思いをせずにクリアできれば、それでいい。

次は、筑波ロードレース選手権のTC600に挑戦したい。このレースは1分3秒0が卒業タイムとして設定されている。つまり、目標は2秒台だ。今まで以上に時間はかかるだろうが、あせることなく、まずは3秒台を確実に自分のものにしたい。それからまたレースをバネに、2秒台の世界を見てみたい。

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コメント

すごいな、2位にダブルスコアじゃん
レースもこうなるともっと盛り上がるかもw

投稿: わだ | 2008.07.09 23:40

motorsports
卒業おめでとうございます
更なる活躍を期待しております

投稿: OB | 2008.07.09 23:44

卒業おめでとうございます!!
TC600でお会いしましょう。そして3秒台まで一緒に連れてって~

投稿: チバザクラ | 2008.07.10 01:57

 御卒業おめでとうございます!!
いよいよTCですね!
 クラスは違いますが、筑波戦でお会いしましょう!

投稿: Qちゃん | 2008.07.10 03:25

おめでとうございますm(__)m
決勝後の達成感120%の顔見て3秒入れたなって確信しました(^o^)
青六1号の益々の飛躍期待してます!!!

投稿: あずMAX | 2008.07.10 06:47

同じなんですよね。
頑張った結果が出た嬉しさっつーか、頑張れたことの嬉しさっつーのは。
そーゆー事のためにサーキットを走るというのは「あり」だと思います。
今日の俺はそう思います。

そう…8耐事前テストのトップタイムも、筑波の3秒台も、いや、何秒だろうが関係ないんです。同じなんです。

そう…散々「8秒」がネタになった直後の7秒もいいもんです(笑。

ありがとうございました。

投稿: ZABO | 2008.07.10 21:42

おー おめでとうございます。
タイムアップの喜び、わかります!

筑波の卒業制度って目標になったいいですよね。
そのうち一緒にロードで走りたいです。

7/19、時間があるようでしら、桶川でモタードやって待っていますよ。

投稿: shinyo | 2008.07.12 10:21

おめでとうございます、3秒台! これからはTCですか? はやくそれも卒業して匠クラスで世界草レース筑波TTで再戦!! なんてかっこよくないですか? Goさんに負けないようにがんばります。

投稿: こんどう | 2008.07.13 09:37

>わださん
いつも走りを厳しくも温かくチェックしていただいてありがとうございます。またよろしくお願いしますね!

>OBさん
まだ全然分かってないので、いろいろ教えてくださいね〜。

>チバザクラさん
2秒台まで引っ張って〜!

>Qちゃん
8月は間に合いませんが、9月に出てひでぇ目に遭ってみようかと思っています。

>あずマーーーックス!
今となっては「うーむ次は2秒台か…」と気が重くなりつつありますが、青六1号的には笑ってどうにかクリアしていきたいな、と。

>ZABOさん
おおーっ、7秒台! ……つまんねーの(笑)。いやでも、10秒から8秒になった時も、8秒から6秒になった時も、やっぱり同じでしたよ。どっちみち、「ふんぬ!」と頑張らないとね。

>shinyoさん
TC600は3秒0が夢の卒業タイム。ぜひぜひぜひぜひ筑波で引っ張ってくださいね。

>こんどうさん
こんちゃんが出た時のレースは4秒008。3秒台に乗せられなかったのが本当に悔しかった…。いいね、匠で再戦。2秒台の男に勝つには、相当頑張らなくちゃ。

投稿: ごう | 2008.07.14 22:32

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