« 楽しい草レース その3 | トップページ | 中国飯店の担々麺を食った »

ポルトガルGPに行った

ヨーロッパでGPを見るのは久しぶりだ。

すげぇ楽しかった。はっきり言ってメタクソに楽しかった。

レース素晴らしい! バイク超いい! GPライダーカッコいい! と、腹の底から思えた。エストリルサーキットに身を置けるだけで、幸せだった。表彰台に向けて観客が放つ大歓声に、身震いした。

0804171

こういうことってあまり人に言いたくないし、言うとかなり恥ずかしい、率直すぎる感想だ。「小学生の作文か!」と揶揄されてしまうような。

でも、ホント、とにかくMotoGPはすげぇんだ。全然関わりはないんだけど、草レースとはいえ自分が同じ2輪車でレースしていることに、誇りを持てた。

何がすげぇって? 何もかもだよ!

(何がすげぇかを書くと、どんどん仕事的原稿に陥っていく)

エストリルサーキットでMotoGPを見て、カスカイスという貸すんだか返すんだかハッキリしろといった名称の小さな港町でしばらく過ごし、「楽しい」ってのはホントに大事なんだな、とつくづく思った。

(あ、そういえば「楽しい草レース」って書いてたな)

仕事でも趣味でも人付き合いでも何でもいい。生きていくうえで、楽しさっていう価値は、めちゃくちゃ大事なことだ。

楽しい=つらくない、というわけじゃない。「楽しい」って、そんな簡単なものじゃない。もっと深い。

楽しいことにだってつらさはあるし、哀しみもあるし、痛みもある。エストリルサーキットでは強い風が吹き荒れたし、突然の大雨に打たれもした。でも楽しい。例えば、そういうものだ。

楽しいことなら、やればいい。例え他人から見て意味があろうとなかろうと、人に迷惑をかけない範囲で、自分が楽しめることをやればいいんだ。

楽しいことなら、つらくたって続けるべきだ。続けていれば、きっと死を迎える瞬間に、ぼんやりとでも笑えるような気がする。

楽しくないならやめればいい。「楽しいかも」と思って始めたのに、やっぱり楽しくないことなんかザラにある。楽しくないのに続けることは、自分も、誰も、幸せにしない。

何が何でも続けることに価値があるわけじゃない。

でも実際は、楽しくないのに続けなくちゃならないことが多すぎる。そして、そういう状況に陥っている人は、たいてい顔を見れば分かる。楽しく生きているか、そうじゃないかは、顔に表れる。

仕事で徹夜が続いた時は、顔を洗って鏡を見る。どよんと疲れた顔がそこにある。でも、どこかにその状況を楽しんで笑っているオレが見えるうちは、大丈夫なんだと信じている。もし、楽しんでいるオレがいなくなったら、その時は真剣に身の振りを考えるだろう。

0804172_2

ヨーロッパの老人たちは、みんな──ではないが、いい顔をしている人がとても多い。しわくちゃだろうが、男だか女だかもはやよく分からない物質と化していようが、表情に生きと張りがある。長い人生を刺激のないヨーロッパで過ごしてなお、目が開いていて、落ち着いている。

エストリルに行ったのは6年ぶりだった。でも、カスカイスの街も、サーキットも、変化した印象がほとんどない。何となくの記憶があてになってしまう。6年なんて、なかったようなものだ。ホテルの朝食は、毎朝ほぼ同じだった。ベーコンとソーセージが入れ替わるだけだ。

ヨーロッパで暮らしたことはないけれど、たぶん、日々の生活は退屈そのものだろう。でも、それだけにじっくりと腰を据えて楽しめることがあるような気がする。

オレの住んでいる埼玉県入間市でさえ、6年前と比べたらものすごく変わっている。オレがポルトガルに行っている間に、こんなのまでオープンしていた。せわしない。

パリ発、成田行き(……パリ発、成田行き…)のフライト待ちで、久しぶりに日本人の集団を見た。ボヤーッとして、ボヘーッとして、つまんなそうな顔をしている人たちばかりだ。目は閉じていて、そのわりに落ち着きなく、きょときょとと何かを探している。

楽しいことは自分の中にあって、外にはないのだ。外の変化に楽しさを見つけようとしても、結局は何も見つからない。ただ、目が泳ぎ続けるだけだ。

その列にオレもしずしずと並び、日本に帰る。退屈だけれど何かが濃密なヨーロッパから、変化と刺激に満ちていながらどこか空虚な日本に。

成田に着いた。クルマを預けてある駐車場への送迎バスの運転手は、何度か会ったことのあるオッサンだった。いつ見ても蛍光グリーンのウインドブレーカーが似合わないオッサンは、「おお! 覚えてるよ」をきっかけに、オレといろんな話をした。

その勢いのまま他の客にもあれこれ話しかけては、長旅を終えて疲れた人々に若干うるさがられていた。その様子に気付いたオッサンは、黙ってしまった。

でもオッサンは、満足げに微笑みながらハンドルを握っていた。細い目だけれど、間違いなく開いていた。いつも同じウインドブレーカーで、パンチパーマで、金歯ギラギラで、日本的下品極まりない風貌のオッサンだけど、楽しそうだった。

いいんじゃねぇか? と思った。

にほんブログ村 バイクブログ バイク モータースポーツへ
ダビデ・ブリビオはかつてSBKで芳賀紀行のチーム監督をしていて、その頃からの知り合いだ。彼は今、フィアット・ヤマハでバレンティーノ・ロッシのチーム監督をしている。夕暮れのエストリルサーキットのパドックを歩いていたら、ダビデとバレンティーノが連れ立ってこちらに向かってきた。ダビデと「チャオ! 久しぶり」なんて再会の挨拶をしていたら、隣にいたバレが「チャオ!」と僕に手を差し伸べてきた。「さすが、草レースも世界最高峰ともなると、6位でもバレから握手を求められるようになるのか」と、筑波ツーリスト・トロフィーの世界的影響力に軽く驚きつつ、ま、手を差し伸べられちゃあ仕方ねぇ、やむを得ずバレと握手した。その手は大きくて、意外と硬かった。

|

« 楽しい草レース その3 | トップページ | 中国飯店の担々麺を食った »

コメント

ほ、ほほう!では3位の僕は、、、(モヤモヤ)笑

モテギのパドックで試してみるか。今から楽しみである。

投稿: ジョン19 | 2008.04.17 11:41

相変わらず素晴らしい文章を書きますなぁ~(≧Д≦)ゞ
トークに織り交ぜられるお下品さが微塵も感じられないあたりがやっぱプロなんですね☆

空虚な社会だから現実世界をシャットアウト出来るサーキットが恋しく思えます!!

投稿: あずMAX | 2008.04.17 19:05

お久しぶりです!
楽しさ、素晴らしさこちらまで十分伝わってきます。
率直すぎるなんて心配する必要なし!!
楽しいものは楽しいでいいじゃないですか!
レース最高!!

投稿: knack2 | 2008.04.17 22:37

 いい話、ありがとうございます。
楽しさは自分の中に…。。
そうですね、その通りなのでしょうね!!
 目を閉じてしまわないよう、
これからも、力いっぱい楽しもうと思います!!

投稿: Qちゃん | 2008.04.18 22:12

こんばんは。今日は自分的にとっても偶然でびっくりしました。GOさんのBlogを初めて拝見した日に、ご本人にお会いするなんてなかなかないですよね(笑)。楽しいお話にポルトガルの写真まで見せていただき、ありがとうございました。またお目にかかれましたらその時はよろしくです〜。

投稿: Broccobird | 2008.04.20 23:09

どもども、某企業のwebmasterっす。
ポルトガルは楽しかったっスか?それは良かった。
仕事でしょうから、楽しむのが本筋ではないと思いますが、楽しくなくちゃやってられないですモンね。
そういうボクも、仕事でサーキットに行く時は、先ず「自分が楽しもう」というのを第一に考えてます。まぁそれでも現場ではバタバタバしててレースをユックリと見る時間なんて無いですが…

投稿: webmaster | 2008.04.22 22:46

>ジョン19さん
いや、それがですね。バレいわく、「6位じゃないとね…」ってことでしたよ。残念!

>あずミャックスさん
そろそろ皆さんも薄着になってきたことだし、エロス&お下品全開で行ってみっかね!?

>knack2さん
マジですげー楽しかったです。ヨーロッパラウンドは格別ですが、特にエストリルは好きですね〜。早くも「来年遊びで行きてぇなぁ」モードです。

>Qちゃんさん
ここんとこ目玉閉じ気味な日々を送っていたので、Qちゃんの言葉に「うおっ」と気付かされました。ありがとうございます!

>Broccobirdさん
すげー偶然ですよね! こんな場末のブログを見に来ていただいた日に、直接お会いするなんて。タイミングって面白いですね。今度はお約束通り、筑波やもてぎや富士で膝を擦りながら語り合いましょう!

>webmasterさん
GPに仕事として携わっている人たちは、ライダーであれスタッフであれ、とても高い次元に身を置きながらも、明らかに楽しんでいました。「世の中には、ものすごくハードルが高い『楽しむ』があるもんだなぁ」と、心を動かされました。ハードルが高ければ高いほど、「楽しむ」ことの価値が高まる。だからこそ得る物も与える物も大きい。GPに、つくづくそのことを教わりました。

投稿: ごう | 2008.04.26 23:35

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/91489/40902368

この記事へのトラックバック一覧です: ポルトガルGPに行った:

« 楽しい草レース その3 | トップページ | 中国飯店の担々麺を食った »