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楽しい草レース その3

うーむレースから1ヶ月が経ってしまった。

なのに話は完結していない。正直、いくらでも書けることがある。草レースにどんな効能があるか分からないが、少なくともブログのネタには困らない。

でもまあキリがないので、3月8日の筑波ツーリスト・トロフィーの話は、今回で終わりにしようと思う。ありがとうございました。

あ、まだ中身書いてなかった。今回も長いよ。

まずは、レースに出たことがない人に向けて、レース日の流れを振り返ってみようと思う。写真を多用し文字数を減らす。ラクしたいライターの常套手段である。

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↑受付。参加受理書など、必要書類を提出する。筑波ツーリスト・トロフィーの場合は、前日の特別スポーツ走行の時に受付を終わらせておくこともできる。

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↑車検。レースに出るために最低限の整備がしてあるか、エンジン/車体の番号などの確認する。ツナギ、ヘルメットなど装具類のチェックもある。3位以内に入賞するとレース後に再車検があるらしいけど、未経験のオレにとっては都市伝説みたいなものだ。

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↑予選。筑波ツーリスト・トロフィーNMクラスの場合は15分。ペースにもよるが、12〜3周程度しかできない。最初っから飛ばすのがなかなか難しい。

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↑予選から決勝まで約3時間空く。やることがないし、泣き疲れたので、少し寝た。赤ちゃんか。

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↑決勝スタート直前のスターティンググリッドとは思えないバカ騒ぎ。緊張感ゼロ。実際緊張せず、いつも平常心でレースに臨めている。必要以上にハイテンションなみんなのおかげもあると思う。ありがた迷惑だ。違った。ありがたいことだ。そういえば筑波HPにも載ってたぞ。

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↑決勝は4台でのバトルになった。表彰台に立てるのは6位まで。オレは7番手争いだと思っていたので、「まぁいっか〜」と少し引き気味だったが、周りの突っ込み度合いが厳しい。「ん? 何かみんな妙に熱いな」と思っていた。

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↑6位で辛うじて表彰台。ノリックのヘルメットを掲げることができた。

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↑レース後も大盛り上がり。優勝したのかと。

「楽しむ余裕」が
未来への足がかり

今回のレースには、チームクルーとして何と7人ぐらいの人たちが集結してくれた。何しろ前後タイヤそれぞれにタイヤウォーマー脱着係がいるのだから、MotoGP顔負けの体制である。オレは本当に走るだけだ。みんな異常にてきぱきとしており、効率がよい。間違いなくオレよりも処理能力の高い人たちだ。

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しかも、何とオレ風情のレースを見るために筑波くんだりまで足を運んでくれた方たちや、サーキットで声をかけてくれた方たちもたくさんいた。さらに全世界で30億人の女性たちが黄色い声援を飛ばし、30億人の男性たちが野太いヤジを飛ばしてくれたそうだ(推測)。とてもありがたいし、何よりも楽しい。

紛れもなくオレはMotoGP参戦をめざしているが、プロライダーではなく、人生を賭けているわけでもない。タイムアタックでやばそうな挙動を感じたら一も二もなくアクセルを緩めるし、競り合いでぶつかりそうになったら迷うことなく引く。「コンマ1秒を失ってしまった」ではなく、「何事もなくてよかった」と考える。

……というと、「真剣さが足りねーんじゃねーの?」と思うかなあ? でも、楽しむことと真剣さとはまるで別の話だと思う。以前、現役を引退したある選手にインタビューした時、「もし現役を続けていても、ロッシにだけは敵わなかったと思う。ヤツはレースを楽しんでるんだ。オレにその余裕はなかった」という話を聞いた。

楽しむ余裕とは、先へ進むために必要な、のりしろのようなものだ。今がいっぱいいっぱいでは、未来への足がかりを見失う。楽しむ余裕を持つことで未来を切り開いて行くか、現状に圧倒されて将来を捨てるか。どっちが真剣と言えるのか、という話だ。

オレはレースを楽しんでいる。楽しさの内訳はいろいろあって書きまくりになってめんどくさいので、省く(いいねブログ。やりたい放題だ)。ここで言いたいのは、楽しいのと同時に、間違いなく真剣でもあることだ。マジで勝ちたいし、何よりも速く走りたい。思い通りにならなければ死ぬほど悔しいし、ちょっとでもうまくいけば死ぬほどうれしい。どっちみち「死ぬほど」の振れ幅がある。それは真剣ってことだと思う。

人の熱が人を動かす
ような気がする

こういうことを自分で言うのはどうかと思うが、冷静に客観的かつ第三者的に考えてみて、もしオレが真剣でなければ、草レース風情でこんなにたくさんの人が関わってくれるはずがない。「こいつ全然速くならねーし、ろくなリザルト出さねーのも分かってるけど、まぁしょうがねぇ、付き合ってやっか」と思ってくれるのは、オレの言動のどこかに、レースに対するひたむきな情熱を感じてくれるからだろう。ひたむきな情熱。2008年にはそぐわないぷぷぷな言葉だが、そうとしか思えない。

これは何事においても当てはまることなんじゃねぇのかな。オレが携わっているライター稼業で言えば、もし人の心を動かす文章があるとしたら、それは文章そのものの力ではなく、書いた人の指先にこもった熱の作用だと思う。上っ面だけ装飾された言葉は誰にも届かないし、何も残さない。仕事でも、教育でも、恋愛でも、何だって同じはずだ。

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オレ自身、最近まですげーめんどくせー仕事を手がけていて、「んだよめんどくせーな」と何度もブータレたが、それでも結果的には楽しく終わらせることができた。それはオレに発注してくれた人が「本気であなたにお願いしたい」「少しでもいいものを作りたい」と、とても強く思ってくれていたからだ。その熱が、めんどくさがり屋のオレでさえ突き動かすわけである。本当に彼が本気だったのかは分からないし、そんなことは実はどうでもいい。オレがそう思えた時点でOKなのだ。

なんか話が逸れてきた気がするのでムリヤリ戻すと、バイクレースは、リスクが高い分、真剣度合い、熱の入り度合いも高いのだと思う。運営も設備も、安全性が高いに越したことはない。実際に走る者として、切実にそう思う。それでもバイクを使っている限り、常にそこには他のスポーツとは比較にならない危険が伴う。

取材用プレスパスには、一番目立つように「Motorsports must be dangerous」と書かれている。ダンゲロウス……。草レースの世界最高峰である筑波TTのパスでさえ、書き出しは「ロードレース競技には危険が伴います」だ。そしてその危険とは、あっさりと命に関わるレベルのものだ。「死んじゃいますよ」と書いてあるわけだから、前提からしてものすげぇんだ。

走り出す前、みんなが「頑張って」と肩を叩いてくれる。そこにはただ「頑張れよ」というのとは、少し違う重さを感じる。オレはそういう複雑さが込められた「頑張って」が好きだ。さんざんふざけ合って、笑い合ったみんなが、グリッドを離れていく時には何だか寂しげな顔をしている。残されたオレは、その思いを感じながらシールドを下ろす。パチン。スイッチが入る。で、スタートをミスする(笑)。

ボロクソに言われながら
信頼関係を確認するマゾ

今回集結してくれた7人ぐらいのチームクルー。人がたくさん来てくれれば来てくれるほど、レース前の連絡事項が多かったり、レース日も「あ、ナントカさんにパス渡さないと」とか、「カントカさん、つまんなそうにしてるな」とか「あれ? ナニガシさんはどこ行った?」とか、いろいろ気になること、やらなきゃいけないことが増える。言葉は悪いが、意外と煩雑なのだ。

手数の多さは物理的にありがたいが、それ以上にありがたいのは、みんな口さがないことだ。簡単にはほめてくれない。いや、正確には、まったくもってほめてくれない。何かって言うと強く激しく突っ込まれ、ボロクソに言われ、クソミソに罵られ、やがてはボロ雑巾のように捨てられるのである。

このあたりは人によると思うが、オレはダメな所はダメとハッキリ言ってもらえた方がいい。きっちりとダメ出ししてくれる人たちと一緒にいるのは、何て言うのかな、もぞもぞした感触がなくてすげー気持ちがいいし、「てめーら見てやがれコンチクショー!」と燃える。

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もし走行後「ごうさん、すごくいい走りでしたよ!」「タイムもばっちりですね」「いいポジションじゃないですか」なんて言われたら、オレなんか「あ、そう。まあ、ね」なんつって葉巻なんかくゆらせて、ゆったりまったり気分になると思う。

でも、「てめ何だよあのダサイ走りはよ!」「最初っから飛ばせって言ってんじゃねぇかよ!」「タイム全然出てねーじゃねぇかよ何やってんだよてめ」「んだよ3列目っておまえやる気ねぇんなら人間市帰れ、ニンゲン市」と言ってくれると、「るせぇなチクショー、やるよ、やりゃいいんだろ!」と燃える。でも結果は出ない(笑)。

オレの人生初バイクレースから手伝ってくれているオリジナルメンバーは、本当に苛烈にオレにダメ出しをする。後から参加するようになってくれた人たちは、その様子を見ると、「え? 走行前のライダーをつかまえて、そんなボロクソに言ってもいいの?」と最初はビックリする。しかし、そのうち安心して激しくオレを罵倒するようになる。

もしオレが、ダメ出しされてヒョローンと落ち込んで立ち直れないタイプなら、みんなそうはしないだろう。でもきっと、「コイツは言えば言うほど燃え上がるタイプだ」と思っているからこそ、あえて、あ・え・て、クソミソに言うのだと信じている。オレが望んでいるから、そうしてくれている。つまり、みんながオレを理解してくれているのだ。これはすごいことだと思う。……あれ? ……そうだよね? ただ面白がっているわけじゃないよね?

練習は個人的なもの
本番はみんなのもの

レースがいいのは、これが本番で、ハッキリスッキリとした結果が出るということだ。スポーツ走行だと、あーだこーだ言い訳の余地がある。でもおまえ、これはレースなんだぜ。本番なんだから、言い訳もクソもねーじゃんか。という具合である。だからみんなも、ズバズバと言いたい放題言えるわけだ。練習であるスポーツ走行は、個人的なもの。でも本番であるレースは、みんなのもの。大ざっぱに言えば、そういう感覚だ。

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↑もちろん、ひとりだけでしみじみと味わいたい思いもある。

そんなわけで3回にわたってダラダラと書き殴ってしまった。原稿料に換算したら結構いい金額になるんじゃねぇかという分量になったが、それでもレースの具体的な面白さについてはまったく触れていないような気がする。ただ何となく、「ふうん、草レースってのもいろいろあんのね、それにしても冗長な文章だわね、ぷう」とタバコの煙でも吐き出してくれればいい。

ひとつだけ言っておきたいのだが、オレはサーキット走行やレース参戦を、不特定多数の人に勧めているわけではない。「オレはこうした」「オレはこう感じた」という、個人的な経験や感想を書いているだけだ。

「飛ばしたいならサーキットで」「競り合いたいならレースを」とは言えるが、そういう「○○したい」という思いがない人が、「周りが行くから」「なんとなく楽しそうだから」とサーキットに行くことには、賛成しない。確かに公道を走ることを考えればはるかに安全だが、それでもダンゲロウスすなわちdangerousつまり危険であることに変わりはない。すべては自分の意志で、自分の覚悟と責任において。バイクに乗ること自体、そういうものだ。

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↑3月8日、筑波TTの話はこれでおしまい。長々とお付き合いいただき、ありがとうございました。またどこかで!

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コメント

楽しかったですよね♪またご一緒しましょう!
ノリックメットを表彰台に持って行ったんですね?当然ですよね~笑

レース後全然走れていません・・・トホホ

投稿: ジョン19 | 2008.04.07 17:19

いい文章だなーー

走りについてはよくわかんないけど、
バックストレッチでは何であんなに遅かったんでしょう。
電気系ですか?(^_^;;

投稿: わだ | 2008.04.07 21:35

ボクはサーキット走るようになって、レース走るようになって、
得るものや出会えた人が沢山居ました。
失ったものは何もありません。

これからも自分のために走りますよ、GOさん見習って。

投稿: 赤千1号 | 2008.04.08 00:07

このブログに触発されて、
4/6に生まれて初めてのレース出場を果たしました。
もてぎダートトラックレースというマニアックなレースで、
しかもごーさんには見てもらえず(泣)。
ファイナルレースの結果は酷いものでしたが、
レーシング魂にちょこっと火が付きました。
これからも「ぜってぇ負けねぇ」文章楽しみにしてます!

投稿: ヒデヨシ | 2008.04.09 17:00

>ジョン19さん
げ。オレもレース後1回もサーキットを走ってない……どころか、バイクに乗ってない。プロじゃないんだから、こんなことじゃダメっすよね……。

>わださん
ストレートのどこが遅いかにもよるんですが、以下のような原因が考えられます。
・ストレート直前の2ヘアの立ち上がりが遅い。
・ファイナルが合っていない。
・電気系(笑)。
・最終コーナーへの進入が遅い。
・アクセルを全開にできていない。
・ビッグマック不足。
・その他。
後学のために、どこがどんな風に遅かったを教えてもらえると助かります。

>赤千1号さん
オレはかなりのお金と時間を失っています(現在進行形)。でもそれ以上に得ているものがたくさんあるので、プラマイで言えば全然プラスです。そう信じてやみません。自己投資だと思えば高いものです。間違えた。安いものです。

>ヒデヨシさん
いやいや、ちゃんと見てましたよ、心眼で。つうか「ヒデヨシがレースに出た」という事実だけで、オレ的にはもうご飯3杯イケるぐらいのオカズっぷりでした。またヨーロッパ行って、レーシング魂に着火しようぜ!

投稿: ごう | 2008.04.16 18:23

2ヘアの立ち上がりはいい感じなのに
バックストレッチ終盤でのノビが無かったです。
私くらい横幅があるとスリップもかなり効果的に使われちゃうと思うのですが、ごうさんならそういう事も無さそうだし。
最終の進入はタワーさんに邪魔されて見えませんでした(^^;

でもお腹ペコペコで御飯の事ばかり考えてたから
もしかしたら別の人を追っていたかもしれませんm(__)m

投稿: わだ | 2008.05.02 17:34

>わださん
ZX-6RにはTRICK STARのフルエキが入っているのですが、同社代表の鶴田竜二さんに聞いてみたところ、「えっ、ECUがノーマルのままなの? そりゃダメだ。全然ダメ(笑)。ECUのセッティングで激変しますよ!」とのことでした。今度試してみる予定です。

投稿: ごう | 2008.05.03 11:16

おお、ということは次回はバックストレッチで4、5台まとめてバピューーンとぶち抜く絵が見られるわけですね。たのしみたのしみ〜

投稿: わだ | 2008.05.04 14:12

>わださん
ヒー、プレッシャーを! でも7月のレースはマジで頑張りたいと思ってます。

投稿: ごう | 2008.05.09 23:18

お初です
本日会社やすんでネット散策してたら
こちらにたどり着きました

ライスポのGOさんなんですね
面白い文章書くから 気になっていたんですが
ブログを少々拝見して

非常に面白い!

そして今回の 
楽しさ、真剣さ、などの考え

今の自分に刺激をいただいきました
またきます でわー

投稿: チャーリー | 2009.10.29 08:10

>チャーリーさん
はい、ライスポでも書かせてもらってます。せっかく会社を休んでの貴重な時間を、このようなブログで少しでもつぶさせてしまったかと思うと、申し訳ない気持ちでいっぱいです。

投稿: ごう | 2009.10.30 16:25

いやいや
ここであったが百年目
ちがった
広大なnet上で
ごうさんのブログに出会えて幸せ度UPです

投稿: チャーリー | 2009.11.01 22:44

>チャーリーさん
広大なネットのこんな場末で幸せになっていただけるなんて……。……ホントに幸せなの?

投稿: ごう | 2009.11.26 13:47

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