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楽しい草レース その1

なんか小学生の作文みたいなタイトルだな。

自分の中にある「なぜレースは面白いのか」という大ざっぱな疑問から、先日の筑波ツーリスト・トロフィーを振り返ってみたい。

うーむ、この話、長くなりそうだ。書く方はラクなもんだけど、読む人は大変だろうなあ……。知らね。

バイクでレースするなんて
ぜってぇ無理だと思っていた

まず、オレが出場している筑波ツーリスト・トロフィーつうのは何なのかという話である。筑波サーキットのHPには、「これからレースを始めたいと思っている人や、自分の街乗りバイクでレースをしてみたいと思っている初心者・初級者の方にお勧めのイベントレース」と書いてある。つまり、オレやあなたのためのレースであるということが分かる。

それでもバイクレースっていうのは敷居が高い。オレは学生の頃レーシングカートをしていたが、平気でちょくちょくレースに出ていた。レーシングカートは、名前からしてレース専用品みたいなものだから、イメージが直結していたのだ。

でも、もともと街乗りライダーだったオレにとっては、バイク=レースとはなかなかならなかった。サーキットを走り始めても、「レースに出よう」なんて想像すらしなかった。「バイク=レースのための道具」と思い至るには、それなりの時間が必要だったのだ。

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↑ツーリングだってしてたんだぞ。数えるぐらいだけど。

サーキットを走るようになって、そこそこタイムが伸びてからも、自分はレースに出るなんてレベルじゃないと確信していた。レースと聞くと、反射的にMotoGP全日本ロードが思い浮かんで、「まぁ少なくともオレ風情が出るべきではないわな」と急速に政治家化して諦めムードが漂い、ひたすら練習走行に明け暮れていたのだ。

そんなわけで「一生レースになんか出ませんよオレは」と頑なに思っていたのだが、1分6秒台ぐらいでラップできるようになっていた頃、ライディングスポーツ誌から「おめ、いいからレース出ろコラ」と言われ、筑波ツーリスト・トロフィー強制参戦と相なったわけだ。結果的には、非常にありがたい後押しだったと今でこそ感謝しているが、当時は「ムリムリムリムリムリだめだめだめだめ」と完全に腰が引けていた。

しかし実際に出場してみたら、すんげー面白かったのである。オレの場合、性分として競い合いが好きみたいで、初予選からパチンとスイッチが入った。練習走行とはまったく違うテンションで走ることができ、練習では越えられない壁を越える楽しさを感じることができた。大げさに言えば、レースが「自分のポテンシャルを引き上げてくれた」のだ。

速くなりたいなら
自分より速い人と走れ

ここで非常に大きく話が逸れるが、レース出場にも関わりのあることなので。

サーキットでスポーツ走行をしている人なら分かると思うけれど、自分より速い人たちに混じって走ることって、すごく勇気がいる。「邪魔じゃないかな」とか「迷惑かけてるかな」なんて、引け目を感じるからだ。

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↑人生初のサーキットスポーツ走行。すでにサンバー。筑波サーキットは走行基準タイムによってクラス分けされていて、この時は最も遅いLクラスを走った。それでもビュンビュン抜かれる一方で、タイムは1分22秒4。「2度とサーキットなんか走るもんか!」と涙に明け暮れた。

でも、速い人たちと走ることで得るものの多さと言ったら、計り知れない。「げ! あんなスピードでコーナーに入れるのか」「げ! あんなに寝かせて大丈夫なんだ」「げ! あんなに早くアクセル開けてんのか」と、全面的に「げ!」なのである。

今、オレが主に走るのは、1分3秒〜7秒のBクラス。ところが予約の都合で、たまに1分8秒〜20秒のAクラスを走ることもある。この時しみじみ分かる。厳しくてもツラくても、ぜってぇ速い人の中で揉まれるべきだ、と。

Aクラスを走ると、練習走行で1分5秒〜4秒台で周回するオレは、「すっげー速い人」みたいな感じになってしまう(ホントは全然大したことない)。例えばコーナー進入ひとつとってみても、周りのライダーがものすごく早いタイミングでブレーキをかけ始めるので、自分が強烈に突っ込めているように錯覚する。周りとの比較で「オレ、シュワンツ!」と勘違いしてしまうのだ。

全体のペースが遅い中で走っていると、自分を見失ってしまう。これは経験不足に他ならない。周りのペースに左右されることなく自分を高められればそれに越したことはないのだが、なかなかそうはいかない。どうせ周りのペースに影響されるなら、速い人たちと走ることで自分の壁を越えられる(かも)ってことだ。どういう場に自分を置くか、という選択は、それだけ重要なんだ。

限界を決めているのは
何なのかっつう話

筑波サーキットの場合、Bクラスのさらに上に、燦然と輝くRクラスが存在している。全日本ライダーがプライベートテストに利用しているという恐ろしいクラスだ。で、たまに「B・R混走」という走行枠があって、これがまたエキサイティングなのだ。

何しろオレがヒーコラ言いながらいっぱいいっぱいで走っている所を、Dydo miu Racing Teamの水色も鮮やかなCBR600RRに軽やかにブチ抜かれ、「ぬおおおっ!」とこめかみブチ切れそうになりながら必死に食らいつくと、ちょっとずつ離されるものの「おっ、そんなに差が付かないじゃん」なんて盛り上がっていたら、水色CBRはスーッとピットインして、「ヒャーッ! クールダウンラップだったのね!?」なんてことがザラにあるのだ。

こっちが限界と思っている走りの領域が、相手にとってはクールダウンラップ。これはめちゃくちゃ貴重な経験だとオレは思う。挫折にはならない。なりようがない。あまりにもレベルが違うから、笑い話にしかならないのだ。

そして、ひとしきり笑った後に、決定的な安心感が得られる。だって同じ排気量の600cc、同じようなプロダクションタイヤ、つまり(ちょっとは違うけど)ほぼ同じパッケージなんだぜ。つまり問題はライダーすなわちオレだけ。エクイップメントとしては「あら? まだまだ全然イケるのね」と確信できること。それが「じゃあ攻めりゃいいんだろ」につながる。だから貴重なのだ。

無理をしないで
先に進むわけがねぇ

バイクを速く走らせたいなら、同じことを繰り返しているだけでは、ぜってぇ進歩はない。ちょっとでもいいからブレーキングを深くし、ちょっとでもいいからバンク角を増やし、ちょっとでもいいから早くアクセルを開ける。そうしなければ、速くなりようがない。

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↑筑波2回目の走行。ベストは1分19秒5。初走行から約3秒短縮したとはいえ、今、写真を見ると「何じゃコリャ」である。でも当時のオレとしては全力だったし、その結果、初めての時に比べればものすごく「見えて」きた。「もうちょっとやってみっか」と思えた。

勉強だって仕事だってスポーツだって楽器だって同じだ。何だって「今の自分にはちょっとムリかも」という難局にあえて飛び込んで、もがき苦しみながらそこをクリアした時に、初めて人は進歩する。

「月に行こう」なんて、普通に考えたらぜってぇムリだ。何せ月には空気がないんだから(その程度の問題か?)。でも、中には「行きてぇ〜!」と強烈に思う人(とか国とか組織)がいるんだ。そしてアメリカはホントに月に行っちまった。「オレは月に行く!」という意志、ビジョンを持つことが出発点なんだとつくづく思う。

今のオレの筑波サーキット自己ベストタイムは1分4秒008だ。1分4〜5秒台で走っている分には、さほど無理がない。でもオレは1分3秒で、2秒で走りたい。であれば、今と同じことをやっていては永遠に到達しようがないのだ。地球で月を眺めながら「あそこに行きたいなぁ」とぼんやり思っているだけでは、永遠に行けないのと同じだ。

速い人たちにとっては、「たかが1分3秒だの2秒だので、何を大げさなこと言っちゃってんの」って話だろう。でも、オレにとっては大事なプロセスだ。そして1分20秒から15秒をめざしている人も、1分10秒から8秒をめざしている人も、1分0秒から59秒をめざす人も、まったく同じ道の上にいるのだとオレは思う。

バイクを速く走らせようとすると、どうしたって転倒のリスクが高まる。今までと違う領域に足を踏み入れ、今までやっていないことをしないといけないからだ。そのリスクを引き受けてなお、速く走りたいと思うこと。簡単に言ってしまえば、それが「頑張る」ということだ。バイクでサーキットを走っている時に使う「頑張る」には、それだけの意味と覚悟がある。

さーて、ようやくレースに話が戻せるぞ。仕事の原稿と違って文字数を気にしないで書けるっつうのはいいもんだ。

アメリカが「月に行く!」と強烈に燃えたのは、「ソ連に負けてられっか」という競争心があったからだ。相当大ざっぱな理解の仕方だけど。だから文字通り命がけのリスクを引き受けたうえで、新しい世界に突き進めた。同じように(同じ……か?)、ライバルと競い合うレースは、純粋に「頑張る」ことが許される場なんだ。

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↑遠回りしたものの割と当たり前の話に落ち着いたところで、以下次回。

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コメント

うん。いいはなしだ。
おれもがんばろう、って思いましたよ。
ありがとうっ!

投稿: とおりすがり | 2008.03.23 18:16

良い話ですね、さすがです(=^・^=)
僕とは文才が違いすぎますw

GOさんは凄く伸びているんですね~!
俺は筑波初陣が8秒台位だったからあまり伸びていません。

どちらが先に3秒入るか競争ですね♪お互い切磋琢磨して頑張りましょう☆
夏の大会では一緒に卒業しましょうね^^

投稿: ジョン19 | 2008.03.23 20:31

はじめまして。

物凄く共感できるエントリーだったので、コメントをさせていただきます。

ちょうど今、「絶対無理!!」と「俺も出てみたいなぁ…」の狭間で葛藤している所でした。そのため、非常に考えさせられる内容でした。

次戦も頑張ってください。失礼いたしました。

投稿: kyazupon | 2008.03.23 20:47

次のレースは絶対見に行きます!
また色んな話聞かせてくださいね♪

投稿: yawn | 2008.03.24 22:47

>とおりすがりさん
オレも頑張ります。また通りすがってくださいね。

>ジョン19さん
ジョンさんは元から速いからな〜。オレとは血統が違いますよ。過去TTは春と秋しか出たことがないんです。夏に卒業っていうのもオツですよね。気合い入れようっと。

>kyazuponさん
オレも「ぜってぇ無理!」と思ってたんですよ! でもエントリーさえ受理されれば誰でも出られるわけで、無理もクソもないなと。自分の気持ちひとつですよね。

>yawnさん
見に来てもらえるに値するレースができるよう、精進します。しかし、のんびりしてるとアッという間に7月だしなあ。

投稿: ごう | 2008.03.25 13:15

ごうさん

これからサーキット走行やら草レースに出場したいと思っている私にはとても刺激的な内容でした。
確かに公道で走っているのとは別次元の領域ですよね。私の場合、40歳を過ぎて夢を諦めきれなかった男がいきなりメジャーリーグのトライアウトに参加するみたいな感じです。
とりあえず今身近なことでできることをしようと思い、毎朝4時に起きて、近所の体育館の駐車場でエイプに乗って8の字走行やらスラロームまがいのことをやっています。
「バイクに乗るのがもと上手くなりたい」というどこから湧き上がってくるか分からない衝動に突き動かされています。

投稿: まろたる | 2008.07.22 17:50

>まろたるさん
オレは35歳でサーキットを走り始めたのですが、今になって振り返ってみれば、確かにまとたるさんがおっしゃるように何か得体の知れない衝動に駆られたように思います。

でも、いいですよね、衝動。ワケが分からず体が動いてしまうわけですが、きっと自分の中でそれまで蓄積されていた何かのエネルギーが、溢れ出てしまう瞬間なんだと思います。

ああ、なんちゅうかこう、青春だなぁ!!

投稿: ごう | 2008.07.23 11:49

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