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大仁ホテルの風呂に入った

午前2時。伊豆・大仁ホテルの大浴場にはオレしかいなかった。

温泉宿の定番・炭シャンプーで頭をガシガシと洗っているうちに、白髪長髪のオッサンAが入ってきた。オッサンAは軽く体に湯をかけると、「ぶわーーーーーおわぉ、ぷひゅー」みたいな雄叫びを上げて、ざんぶと風呂に入った。「ぷひゅー」じゃないよ「ぷひゅー」じゃ。

次に、炭ボディソープでワシワシと体を洗っているうちに、黒髪ボサボサ頭のオッサンBが入ってきた。オッサンBは、鼻歌を歌いながらなぜか洗い場でブラブラさせている。違った。ウロウロしている。ゴキゲンだ。

ようやく湯船に浸かり、手足をデローンと伸ばしていると、角刈りのオッサンCが入ってきた。オッサンCは湯煙の向こうで何をしているのかよく分からなかったが、ほどなくして静か〜に出て行った。露天風呂に向かったらしい。おとなしい人のようだ。

突然「ぷひゅー」という白髪のオッサンA。終始鼻歌を歌っているボサボサ頭のオッサンB。この2人、会話をしていないことから、知り合いではないようだ。それなのに微妙に「ぷひゅー」と鼻歌がハモる瞬間があり、うーむここはいっちょオレも何か音を出して参加しなくてはならないかと、つい「入り」のタイミングを計ってしまう。

ま、しかし大仁ホテルの大浴場において3人でハモッたところで、世の中に何一つ貢献しない。オレは静かに湯船に浸かり続ける。

このあたりから、オレとオッサンA〜Cの微妙な勝負が始まった。オッサンA〜Cより先に入ったオレは、彼ら3人より後に出たい。つまり今回のバトルは、長く風呂場にいたもん勝ちなのである(←勝手にルールを策定)。

ま、こんな真夜中に風呂に入りに来るオッサンなんて、どうせ酒入ってるだろうからすぐのぼせちまって出て行くだろう、つまり長くいたもん勝ちにすりゃあ、オレが勝てる確率は高いだろうと踏んでいたのだが、あにはからんや。オッサンたち、意外と長湯なのである。

大浴場で粘っていたが、オッサンに動きがないので飽きてくる。露天風呂にでも行ってみっかと外に出ると、湯煙の向こうにオッサンCの角刈りシルエットがぼんやり見える。風貌も年の頃もよく分からない。オッサンCは、とかくベールに包まれた人なのだ。

なんとか湯煙が切れる瞬間にオッサンCの真実に迫ろうとしているうちに、ほぼ同じタイミングでオッサンAとオッサンBも露天風呂にやって来た。なんだなんだ? オレ+オッサン3人、4人全員が推定午前2時40分の露天風呂に結集しているわけである。

こうなったらぜってぇ負けるわけにはいかない。オレが勝手に始めた勝負で、オッサンA〜Cはそんな勝負中だってことをまったく知らないが、でも、ぜってぇオッサンたちより先には出ない!

しかし、オッサンAの「ぷひゅー」とオッサンBの鼻歌のハーモニーは露天風呂でも続き、とてもではないが推定午前2時50分にふさわしい静けさではない。オッサンCは相変わらず静かだけど全容が分からないから不気味だし。せっかく星が瞬き冷たい風が顔を撫でていったりして気持ちいいのに、BGMがオッサンたちのハーモニーじゃなぁ……。

いいや勝負なんて。知らね。だいたいオレ1人が勝手に「勝負!」とか思ってるだけだし。オレはオッサン3人を置き去りにして風呂を出た。いいよいいよ負けで。

うす緑色の扇風機とか針がビヨンビヨン動く体重計とかマッサージチェアとかヘアリキッドとか、何とも昭和の香りがする脱衣所でそそくさと体を拭いたりしていると、ガラリと露天風呂の引き戸が開き、なんとオッサンA〜Cが全員揃ってワラワラッと出てきた。オッサンワラワラ。イヤな響きだ。

それはまるで国税局査察部のガサ入れのような、あるいはGメン75のオープニングのような、一瞬「カッコいいじゃねぇか」と思わされるほどの、ブラブラっぷりであった。違った。揃いっぷりであった。

なんだなんだ? やっぱオッサンたち知り合いだったのか?

しかし脱衣所で着替える様子を見ていると(やだなぁ、オッサンの着替えシーン)、オッサンAが相変わらずピシュピシュと異音を発する以外、誰も話していない。やはり知り合いではないらしい。そもそも、入ってきたタイミングがバラバラだった。にも関わらず、打ち合わせしたかのように揃って風呂から上がるとは。カッコよすぎてワケが分からない。

しかも、脱衣所のドライヤーで豪快に髪の毛を乾かしているのは、もっとも短髪のオッサンCだけ。角刈りのオッサンCは「ゴオォォォ」ぐらいの短期間でドライヤーを終え、静かに立ち去った。……やんなくてもいいんじゃねえ? オッサンAは相変わらずブハーピシューピシューと言いながらせわしなく出て行った。オッサンBは、高らかに鼻歌を歌ったまま風呂場を後にした。

オッサンたちの様子にあっけにとられ、最後まで風呂場におり、結果的に勝利したオレ。ヒマだったのでマッサージチェアを試してみたが、アレって痛くね? いつも思うんだけど、ローラーつうの? アレが固くて痛いんだよね。カタログの金髪お姉さんみたいにうっとりした表情で座ってみたいのに、「アツツ」「イツツ」「アグッ」「イデデデデデデ」みたいに悶絶するばかりで、全然気持ちよくない。もっと柔らかいローラーはないものか。

と、くだらねーことを考えているうちに、若干眠くなってきた。つうことは気持ちいいのかなぁコレが……と、うとうとしていると、「あれおかしいなプシュ部屋の鍵なくなっちゃったプシュプシュ」とオッサンAが駆け込んできた。「参ったなこの時間じゃフロントも空いてないだろうし鍵どうしちゃったかなプシュプシュ風呂場に来るまでに落としたかな」とコッチをチラチラと意識して「助けてオーラ」を出しまくりながらも、「独り言だもんねー」的な姿勢を崩すことがない。「あれぇどこのカゴ使ったっけプシュああ、このカゴだ、あああったあったあ〜よかったピシューよかったよかった」と、鍵を見つけたオッサンAは走り去った。

「最後までプシュプシュ言うオッサンAだったな」と偲びながら(死んでないけど)風呂場を出ると、出てすぐのマッサージチェアにオッサンAが座って「ピシュハー」とか言ってやがった。オッサンAてめぇ、たった今あわてて走り去ったばっかりじゃねぇか。何リラックスして「ピシュー」とか言ってんだよ!

……。えー、以上、これというオチはない風呂場の風景でした。

午前3時半頃に部屋に戻ると、明かりが煌々と灯ったまま、男どもがばったりと倒れていた。テーブルの上にはビールとつまみとノートパソコンが散乱している。大仁ホテルには仕事で訪れているのだ。「しょうがないわねぇ、もう」とお母さん状態で明かりを消す。オレ以外の3人のうち、2人のいびきと寝息がちょっとズレてて気になる。揃ってくれ! 息を整えろ!! あ、揃った! あ、またズレた!! とか言ってるうちにいつの間にか寝てしまったのであった。

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↑朝は7時前に目覚ましメールに蹴り起こされたおかげで、なかなかオツな富士山を眺めることができた。

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↑男所帯は気楽なものよ……。

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↑この話のどこが「バイク モータースポーツ」か、疑問を差し挟む余地はない。だって風呂場で遭遇したオッサン3人は、全員ブラブラさせていたわけだから。ま、そういうことでクリック。

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